459.トキメキの1970年代.レイスリー.ZERO.19 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは‘愛しの君,の松川サナエと原宿のムードのあるレストランで食事をしていた、やはり彼女は美しい、顔だけでなくエレガントで高貴な振る舞い、乳もなかなか大き~い、世の中にこんな女性がいるのか?まさに「パ~~~~フェクト」こんな女性とデートが出来てワタクシは正に幸せの絶頂にいた、いつもならここいらへんで「実は夢でした~」となるのだが、これは夢ではない、これも一重にワタクシの実力の成せる業、と、これまた言いたいが全てはゲロ男のお蔭だった。


教育実習から帰ってきたゲロ男は約束通り彼女に話をして電話番号をゲットしてきてくれたのだ、ワタクシはゲロ男から麻雀で巻き上げた金で気前よくカレーライスをご馳走した、もちろんワタクシはカツカレーを食べた、ゲロ男から得た電話番号を控えてルンルンのワタクシは学校のある桜上水から横浜の自宅までスキップで8時間かけて帰ったのだった、だが、いざ電話するとなると胸がドックン、ドックンと高鳴った、「ルルー、ルルー」呼び出し音がやたら長く聞こえた、
相手「ハイ、松川で御座いますが」


ワタクシ「あっ、レイスリーと申しますが、サナエさん、いらっしゃるでしょうか?」


相手「お嬢様でいらっしいますか、ちょっとお待ち下さいませ」

「お嬢様」この言葉にまたもや庶民のワタクシはビビってしまった、電話に出たのはひょっとしてお手伝いさん、お手伝いさんがいる程の良家だと思うとワタクシごときがお誘いしていいのか、頭の中を劣等感が再び持ち上がった、「だが待てよ」彼女は相手がワタクシだと分かっていて電話番号をくれたのだから、「ひょっとして、ひょっとしたらワタクシの事をタイプかもしれない」前向きに何事もいい方に考えるのを特技としているワタクシは自信を取り戻し彼女が出るのを待った、
サナエ様「もしもし、サナエですけど」


ワタクシ「こ、今日は、レ、レ、レ、レイスリーと申しますが」
緊張し過ぎで漫画おそまつ君の‘レレレのおじさん,のようになってしまったワタクシ、長話はボロが出るといけないので日時と場所だけをを決めて早々に受話器を置いた、約束の場所は渋谷、ハチ公前、ありきたりだが間違いない待ち合わせ場所だ、そして、その日がやってきた、ワタクシは当時流行りのパンタロン風スラックス、貝のネックレス、オーデコロンを首から頭からシャツの上からバンバン振り掛けて万が一に備え下半身にもピュピュと振り掛けた、電車の中で隣に座った人が鼻をハンカチで抑えていたが、そんなのはお構い無しだ、何しろ今日は‘愛しの女,と初めてのデートで舞い上がっているワタクシだった、そして待ち合わせの場所で待っているとニコヤカに微笑みながら‘愛しの君,いや松川サナエちゃんがやってきた、すると周りにいるむさ苦しい男たちがジロジロと二人いやサナエちゃんを見始めた、「こんな野郎にこんな美人が~」的な視線を浴びながらワタクシは鼻高々に心の中で「ムフフフ、勝ったー」と見知らぬ野郎どもに優越感に浸っていた。


だが、困った事に緊張の為かサナエちゃんと気軽に話せない、喫茶店に入っても趣味の事やありきたりの話しか出てこない、いつものように適当に下ネタを交えながらのジョークがまるっきり飛び出ない、と言って高級な話題などまるでないワタクシだ、喫茶店では音楽の話で間を繋ぎ彼女が洋服を見たいと言うので付き合うが女性の流行りのファッションなどチンプンカン、「これどうかしら?」と聞かれても「似合ってるよ」と在り来たりの返事しか出来ない、その後、原宿に場所を移して彼女のお薦めのレストランに入ったが、ここでも会話が弾まずに送って行く事になった、彼女の家は目白に在るらしい、駅から歩いて10分ほど行くとやけに警察官が立っている、家並みが古いが大きい家が立ち並ぶ地域に入り、まさかの田中角榮の目白御殿の方に向かって行く彼女、「オイ、オイ」と思いながら付いていく古い作りながら大きな屋敷の前についた。


どうみても彼女は由緒正しい家の出か大会社のお偉いさんの娘に違いない、家族の事を彼女は言わなかったしワタクシも聞かなかった、理想を求める綺麗事が好きな若きワタクシは男と女に取って家族の身分が高かろうが低かろうが愛があれば自分たちには関係ないと思っていたからだ、だが実際にそう簡単ではない、この屋敷は後ろが何れだけ広いかが表から見ただけでは解らない位の大きさだった、これを見てワタクシは圧倒され後退りしたが彼女に「また、会ってくれる?」と勇気を振り絞って聞いた、彼女は「いいですよ」と答えてくれチャンスを先に繋ぐ事だけはどうにか出来たと家の中に入っていく彼女を見送った。


その数日後にワタクシと同級生たちは軽井沢にいた、卒論の講習会があり3泊4日のミニ旅行、初めての軽井沢だったが何処かに行くわけでもない、好きな人といればロマンチックな場所かもしれないが心と頭は‘愛しの君,の事ばかりを考えていた、日大の建物だけに立派だったが講習会での教授の話は上の空、フッと目をやると窓側に座っている何処かで見た事があるような女性が小さく手を振っている、「えっ、俺か?」と周りを見舞わしたが、どうやらワタクシらしい「同じ中国分学科にこんな娘いたか」と講習中なので周りに聞く事も出来ない、講習会が終わり手を振っていた彼女がこちらにやってきた。

よく見ると西マリ子という同級生だが以前はメガネを掛けていたのをコンタクトレンズに変えたらしい、
ワタクシ「コンタクトにしたんだ、意外と可愛いじゃない~」


西マリ子「えっ、意外と!」


ワタクシ「いや、ゴメン、ゴメン、根が正直だからさ、ハハハー」


西マリ子「もうレイスリー君たら、相変わらずなんだから~」
こんな感じ、何故か‘愛しの君,と一緒の時はこの程度の話も出来ないワタクシ、「恋とは辛いものなのだ」我慢出来なくなったワタクシはその夜に‘愛しの君,に電話をした、しかし、彼女の態度は意外なものだった。


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