425.大地に咲く花.2部.9 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
人は変わろうと思えば変わる事が出来る、よく変わるか悪く変わるかは自分の気持ち次第であろうが、それには自分の意思の他に周りの人の影響力が大きく関わる場合もあるのではないだろうか。


アリサの境遇は確かに恵まれなかったが周りの人には恵まれた、タイの売春宿にはピー.ユッがいた、日本に来てからはミユキが、フィリピーナのヘレンに可愛がってもらいマリアに出会った、モルドバから売られる娘たちはほとんどがヨーロッパに売られて行く、たまたまタイに来た事が今に繋がっている、アリサは「神がいるならば、こんな仕打ちをしない」と言ったが神は帳尻を合わせるように別の運をアリサに与えていたのかもしれない。


アリサはマリアの優しさや明るさや優しさに魅せられて「マリアのようになりたい」と願い、真似をする事で彼女のような人間になろうとした、所詮は真似事と笑うなかれ、元々は芯の強いアリサにマリアの優しさや明るさの真似が加わりマリアとはまた違う魅力的な女性になっていた、人はどんなに優秀でも100%優れたは人はいない、だが、ある一部の優秀な部分があればそれを吸収すればいい、他の人たちからもいい部分だけを盗み自分の物にしていき自分なりの人間という物を作り上げていけばいい、いや、実際世の中の人は知らず知らずのうちに他の人のいい部分をパクリながら生きているのではないか。


アリサもマリアのいい部分を吸収し自分という物を作り上げようとしていた、その時ワタクシはアリサが以前のただ可愛い娘というより明るく美しい女性に、そしてワタクシにはマリアとアリサは仲のよい姉妹のように見えた、ワタクシはマリアと出会った事でアリサの苦しかった心が解放されたのだろうと考えた、どちらにしろ不幸な生い立ちのアリサが少しでも幸せそうにニコニコしている姿を見てワタクシも「よかったなアリサ」と心の中で思わず呟いていた。


マリアとアリサとワタクシが再会して1ヶ月がたった、アリサは仲のいい同じ歳のフィリピーナのシェーンと一緒にマルイでウィンドウショッピングをしていた、とにかく最低限の物しか買わないケチ、いや節約家のアリサだ、ミルミルだけですぐ側のマクドナルドでハンバーガーを美味しそうに食べていた、フト歩道を歩く1人の男が目が入った、そして店を飛び出した、
アリサ「ゴトウサーーン!!」
男は立ち止まりユックリと後ろを振り返った、
後藤「ア、アリサか?本当にアリサなのか?」


アリサ「ウン、ゴ、ゴトウサン アリサダヨ、アリ.....」
アリサの声が震えていた、もう二度と逢うことが出来ないと思っていた後藤に偶然に逢うことが出来た、自然と大粒の涙がこぼれていた、
後藤「どうしたアリサ、久しぶりに会ったのに泣いちゃうなんて、ほらハンカチ、涙を拭いて」


アリサ「ダッテ、ウレシインダモン」
アリサは神を信じない、だが信じていれば「神様有り難う」と思ったに違いない、これが奇跡かどうかは解らない、後藤が東京にいるのは間違いなかったにしろなかなか出逢うものではない、実は二人が初めて会ったタイの売春宿に訪れたのは後藤はあの時が初めてだったのだ、商社の先輩に酒を飲みに連れていかれたのがあの店だった、偶然にもアリサが店に初出勤の日に二人は出会った「これは運命に違いない」とワタクシはこの時の事を後で聞きそう思った。

この後、後藤はアリサの店に行き二人でずっと話したそうだ、タイから日本に後藤が帰って4年近くの歳月が流れていた、この再会を一番喜んだのがマリアだった、彼女は神を信じないアリサに代わり神様に祈りを捧げた。

1週間後、アリサは後藤に食事を誘われ食事後に前から気になっていた事を後藤に聞いた
アリサ「ゴトウサン、タイノ サイゴノトキニ ナニヲ イオウト シテタノ?」


後藤「そう、タイでのお別れの時だよな、あの時は....」


アリサ「アノトキワ?」

後藤「笑うなよな!」


アリサ「ゼッタイ ワラワナイカラ」


後藤「アリサが18歳だったらなあー、って...言いたかったんだ」


アリサ「ワタシガ 18サイ ダッタラ ドウシタノ」

後藤「ん~っ、日本に一緒に日本に行くか?って言ってたかな、ハハハ」

アリサ「ゴトウサン、アリサワ イマ 18ヨ、ダメ?」
後藤とアリサが初めて会ったのはアリサが12歳、後藤が32歳だった、それから6年の歳月が流れていたが後藤は何度か女性と付き合ったものの未だに独身だった、
後藤「オイオイ、俺は38歳だぜっ、って、いいのか俺で?」


アリサ「ウン!!、ゴトウサンノコト ダイスキ」アリサは変わった、タイでは後藤に対して何も言えなかったアリサだったが今は違う、心の中にしまってあった愛情をストレートに後藤にぶつけた、後藤もアリサの愛情を素直に受け入れた、アリサは幸せの絶頂にあった、彼女に取ってこれ以上の幸せはなかった、しかし新たな悲しみが少しずつ少しずつ近づいていたのだった。



皆様にお願いが御座います、ご存知の通りこの度のネパールでの大地震で死亡者は4000人近くにもなっております、ネパールはアジアでもバングラデシュなどと並んで大変な貧民国です、更にこの大地震で大変な思いをしている方々がたくさんいらっしゃるはずです、同じアジアの仲間を皆様の少しの援助で救われる人も出てくるはずです、岩崎先生のフィリピン専門の行政書士のブログに出ている先でも日本赤十字等でも結構ですので募金に協力して頂けるよう宜しくお願い致します。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして心より御礼申し上げます。