398.サイレント.ナイト.9 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
エンジェル「ダ、ダンナガ アナタニ イエヲ デテイケッテ」


大山「おっ、俺に出ていけって、この家は俺が金を出して買った家だぞ、それを出ていけって、確かに名義はエンジェルの名前だけど.....エンジェル、お前もそう思っているという事か?」


エンジェル「オッオー、ショウガナイ ディバー」エンジェルに言われ大山は体から一気に力が抜けて、その場にヘタリ込んだ。


大山「そ、そうか、俺が出ていくのか、でもミリイ、ミリイはどうするんだよ」


エンジェル「ダイジョウブ、ワタシガ メンドウミル」


大山「ミ、ミリイまで俺から取り上げるのか!!」


エンジェル「ミリイワ アナタノ コドモジャ ナイダカラネ」


大山「やっ、やっぱりか、ミリイは俺の子供じゃなかったのか」
大山はエンジェルを愛していた、ミリイの事も自分の子供かどうかの疑い気持ちはあったが心から自分の子供として愛した、エンジェルが日本に帰ると言った時もエンジェルとミリイの元気のないのを見るに見かねて一緒に渡比する事を一大決断したのだった、深き愛故に離れる事など出来ない、その大山に「二人と離れろ」と言うのはまさに生き地獄だったかもしれなかった。




ワタクシ「大変だったんですねえ、でも、そんな事が本当にあるんですねえ」


大山さん「自分でも信じられなかったよ、堕ちる時って次から次に色々な事が起きるんだよね、レイスリーちゃんも同じだったんだよね」


ワタクシ「そう、まっ逆さま堕ちましたからね、それでお金とフィリピンの家はどうしたんですか」


大山さん「いやー、詐欺グループは捕まったよ、他にも何人も引っ掛かったみたいだよ、でもお金は戻って来なかったね、フィリピンの家はねえ、判らないな」


ワタクシ「判らないって、まだエンジェルやミリイちゃんがいるんじゃないんですか?」


大山さん「実は、俺さあ、エンジェルの事、まだ好きなんだよ」


ワタクシ「家を追い出されたのに、まだ未練があるんですか?」


大山さん「だって、エンジェルはさあ、日本にいるとき給料袋を渡す時はいつも、ご苦労様って言ってくれたし、仕事で遅くなって俺が帰った時もいつも寝ないで待っててくれたんだよ、弁当も作ってくれたしね、当たり前かもしれないけど何か嬉しくなっちゃって、へへ」


ワタクシ「....愛してたんですねえ、大山さん」

大山さん「ハハハ、そうかもしれないな、だから、今も元気かなーとか考えちゃうんだよね」


ワタクシ「そうですか、でも、そんなに愛していたのに、どうして日本に帰ってきたんですか?」

大山さん「あの時、俺が家を出ていく事でエンジェルとミリイが幸せになるんだったら、それでもいいかと思ったんだよ」

ワタクシ「そ、そんなに...」


大山さん「うん、それに連絡もしてないのに毎月5万円送ってやってるんだ、馬鹿だよね、俺って」

ワタクシ「えーっ、それは........」


大山さん「馬鹿だろ、本当に俺って大馬鹿なんだよな、でも世の中にこんな馬鹿が1人位いてもいいよね、レイスリーちゃん!!」


ワタクシ「大山さん..」
ワタクシもこんな底抜けのお人好しな人は見た事はありません、フィリピンで何もかも無くした男なのにいまだに騙された女性を愛してると言い仕送りまでしてるなんて、ワタクシを含めて誰もが呆れて言葉が出ないでしょう。


しかし、これ程に1人の女性を愛してる人に出会うのもない事もなかなかないでしょう、1人の女性を愛し続け財産を全て無くし家を追い出され、愛する娘も自分の子でないと言われ、毎月仕送りまでするなどという事は到底普通の人には出来る事ではないはずです、そこには国、人種、お金などというものを超越した愛があったからに他ならないのではないのでしょう、ワタクシはこの時、大山さんに感銘を受けました、彼の生き方にワタクシは心を揺り動かされてこの時から再び人生が変わったかもしれません。


そして、そんな大山さんにある事が起きるのでした。



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