397.サイレント.ナイト.8 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
セブに降り立った大山、エンジェル、ミリイの3人、空港には田中が待っていた。



ホテルをチェックインして軽食をとり早速コンドミニアムを見に行く一向、車で15分コンドミニアムの入り口には銃をもった警備員が二人いたが田中に敬礼し見知っているようすで、車を降りるとフィリピン人の管理人のような人間が出迎えて挨拶をしてきた、そして空室を丁寧に案内してくれた、海が見える確かに高級そうでいいコンドミニアムだった「間違いなさそうだ」大山はそう思った。


マニラに戻りパンフレットに乗っているフィリピン事務所にエンジェルに東京事務所は自分で電話し田中が社長なのも確認した、そして契約書にサインし一口200万円を5口計1000万円を田中に指定された東京の銀行に送金するように手配した、大山に残されたのはエンジェルの銀行に預けてある200万円と手元にある20万円だけとなった。


1ヵ月後、エンジェルの銀行にペソで振り込まれるはずの金は入ってこなかった、大山は慌てたが後の祭りだ、田中にも川田夫婦にも会社にも連絡が取れない、エンジェルと一緒に警察に行ったが受け合ってくれない、そこで日本大使館に出向いた、大使館員は「よくある話しなんですよ」と説明してくれた、コンドミニアムの警備員や管理人には金をつかませてあり、パンフレットも詐欺グループが作ったものらしい、取り敢えずフィリピンの警察の担当部署に連絡を紹介してくれたが、お金のやり取りが日本なら日本の警察に行ったほうがいいだろうとアドバイスしてくれた。


家に帰った大山は余り強くない酒を煽った
大山「チクショー!!本当に馬鹿だよ俺は!!」

ミリイ「どうしたのダディ、何かあったの?」


大山「ミ、ミリイ、ごめんな、ダディは本当に馬鹿だよ、ごめんな」
大山は愛すべき5才の娘を抱き締めた。



喫茶店で話していた大山さんはこの時ワタクシの前で嗚咽しながら大粒の涙をこぼし始め、その涙はしばらく止まらなかった、それは詐欺にあい金を騙し取られたから泣いたのではない、大山さんは愛娘のミリイを自分の手で抱きしめることが出来なくなった事に涙したのだった、大山さんの真の悲劇はここにあった。


1000万円を騙し取られた大山はフィリピン警察に被害届を出した後に1人日本に戻り詐欺の被害届を出した、状況を見守る為に10日ほどいたが進展のないままフィリピンに戻った、しかし、前日に飛行機の到着の時間をエンジェルに国際電話で教えていたのだが迎えがない、2時間たったが誰も来ない、仕方がないのでタクシーで自宅に向かった大山。


自宅の前で降りると庭に見知らぬフィリピンの男が二人立っていた、男たちは大山をジッとこちらを見ている「なんだ、お前たちは?」と言って家に入るとエンジェルの兄が偉そうにソファーにふんずり返ってこちらをニヤニヤしながら見ている、エンジェルはその前に小さく縮こまっている。

大山「エンジェル、どうした!何があったんだ!」
しかし、エンジェルは下を向いて答える事が出来ない、代わりにエンジェルの兄がタカログ語で大山に何事か捲し立てる、
大山「エンジェル、お前の兄さん何言ってるんだ、教えてくれよ」


エンジェル「コ、コノ イエワ アナタノ モノジャ ナイダッテ」


大山「何言ってるんだよ、名義は確かにエンジェルだけど、お金は俺が出したんだろ!そうだろう、エンジェル、そう言ってやれよ、こいつに!!」


エンジェル「コノヒトワ ワタシノ ダンナナノ」


大山「なにーっ、お前の旦那は俺だろう、じゃー、じゃー、ずっと俺を騙してたのか?!」


エンジェル「ゴ、ゴメンナサイ」
思いもよらない事を言われ驚愕する大山、この後更に辛い事を聞く事になるのだった。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして心より御礼申し上げます。