365.褐色の花嫁.30 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ケソンシティに3日間いて最後の日はマニラに移りました、ホテルは常宿のアンバサダーホテルでした。



8年ぶりに来たアンバサダーホテル、更に輪をかけてオンボロになっていました、今日は最後の夜なので焼き肉を食べたいというジョイと近くのロビンソンに向かいました、行く途中に焼き肉屋はあったのですが、つい通りすぎてしまい結局ロビンソンで探す事になったのです。


エスカレーターで上がった最上階に行くと何だか判らない日本食レストランなのでしょうか、焼き肉、寿司、天ぷららしきものが出されている店があります、ジョイが入りたいというので入ってみると食べ放題、しかもバイキング方式になっていました、しかし、料理はどれも中途半端なのです、日本料理をフィリピンの人達に食べさせようという趣旨は判るのですが、ワタクシのような古い人間には理解しずらいものでした。


しかし、それでも若い人達で満員状態です、フィリピンの人達には味よりもボリュームなのでしょうか、それともフィリピン人に合うような味付けなのでしょうか、少なくともワタクシの口にはどれも合いませんでした、価格は二人で2500ペソですがワタクシには判りませんが、ジョイは高いと言っていました、やはり、食べ放題は量を食べられない女性には高く感じるかもしれません。


ワタクシたちはホテルに戻り結婚の話をしました、結婚を決めたもののフィリピンにまた来るのか、ジョイを日本に呼ぶか多少は知識はあるものの、どういう段取りでやるか、どちらがお金が安くすむかなど日本に帰って調べなければなりません、そして何よりも同居している母親に話さなければいけないのです。


ワタクシの母親は戦前に日本が統治していた台湾で生まれました、戦後に敗戦とともに日本に戻って来たのですが、台湾人の多くの友人が過去にいて今でも付き合いがあるのです、他国の人と友人として付き合っていた母親ならきっとジョイを受け入れてくれてくれるだろうとワタクシは信じました。


フィリピンを離れる時に過去に何度か来て一度も思わなかったのに今回初めて後ろ髪を引かれる思いになりました、どこにも観光に行くわけでもないのですがジョイと一緒にいて楽しく過ごせました、そして「必ず結婚するからな」と言うとジョイは「オッオー、ヤクソクナ」と寂しげに答えました。


ホテルからのタクシーを待たせていたのでワタクシが見送る事になりました、そしてワタクシが空港に入ろうとすると日本人を含む外国人がズラリならんでいます、そこにどこかで見た男が「クヤー、コッチコッチ!!」と手を降っています、初日にワタクシに声をかけて来たバロンを着た男です。


ワタクシを列の一番前に連れていきスンナリ並ばずに中に入り、おまけに発券も並ばずにこれまたスンナリです、そして「シャチョウ、センエン、オネガイ」本来なら20分位かかるところを2分もかからなかったので千円を渡してやると「シャチョウ マタネ~」と調子よく手を振るのでした、慣れたものです、一体これで幾ら稼いでいるのか。


待合室では煙草が吸えないので喫茶店に行き一時間ほど時間を潰しジョイに電話を入れます、するとジョイの声が震えています、聞くとホテルから空港そしてケソンシティまででかなりボラレたらしいのです、日本人のワタクシが乗っていたので金を持ってると半分脅し気味で料金を取られてしまったのです、ホテルタクシーといえど油断も隙もありません、しかし、何事もなかったのでホッとしました。


そしてワタクシは日本に帰りました、ジョイとの結婚でワタクシは本当の人の心を見てしまう出来事が起きるとはこの時は全く予想していませんでした。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして心より御礼申し上げます。