258.真夏の街.59 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ライカやアリの家族に別れを告げサラームの車でアリと乗り込んだワタクシ、アリは後2週間ほど滞在するためワタクシ1人で帰らなければいけません。



空港に向かう途中で約束した貧しい人たちが住む地域を通ってもらいます、川が橋を渡る時その光景を目にする事になりました、過去ワタクシが行ったタイでも川の側に住む貧しい人たちは大勢いました、しかしバングラデシュでの光景は遥かにそれを上回りました、半裸のボロ着を着た人、川の両側に藁葺きで作った家、いや、これは家とは言えないかもしれません、小屋と言うにも余りにも質素な住まい、ワタクシたちがどう思おうが彼らに取っては確かに住まいなのです、そしてその光景が川に沿って延々と続いていました。


バングラデシュがアジアで一番の最貧民国なのは判っていたものの、現状を見ると見ないとでは全く違います、いや、これ以上酷い状況の国はアフリカ諸国にもあるでしょう、上には上があり、下には下がある、平和な国となった日本にいるワタクシが貧しい国の人たちに何かしてやれるのかを考えても、いつも何も出来ない自分の無能さを思いしるだけなのです、そして、この時もボロ着を着て今にも崩れそうな住まいにいる人たちを見て茫然とするしかないワタクシがいるのでした。


橋を渡り空港に向かう車、空港に着きサラームとハグしアリと握手を交わします、
サラーム「レイスリーサン、 アナタワ ワタシタチノ ユウジンデス イツデモ カンゲイシマス、マタ キテクダサイ」


ワタクシ「色々と本当に有り難うサラーム、アリも有り難うね、ライカにまた来るからって言っといて」


アリ「ウン、ワカッタ、イットクヨ シャチョウ」ワタクシは二人に手を振りながら彼らと別れました、バングラデシュの首都ダッカを飛び立った飛行機の窓から小さくなった街を見ながら考えてみると、今回の旅では常にアリやその家族に守られていました、その為行くところは限られていました、時間も4泊5日では往復の時間が取られてしまい、どこかに行くには短すぎです、まだまだ見るところも沢山あり、知りたいこども山ほどありました。


人によっては貧しい人が多く、汚ならしい貧しい国のバングラデシュなど行きたくないと言うかもしれません、しかし、また行ってみたいワタクシに取っては魅惑の国バングラデシュなのでした、ただ残念ながらライカとは約束したものの、再訪は果たせていません、アリからは「ライカ マッテルヨ、シャチョウ」度々言われたのですが、なかなか行くチャンスには恵まれませんでした、6年後に携帯で撮った写真をアリに見せられましたが、そこにはスッカリ大人になった美しいライカが映っていました。


そして、その2年後ライカが結婚する事をアリから聞きました、その相手はアリの親友でありワタクシの友でもあるサラームです、アリによるとライカはワタクシが帰って来ると信じ待っていたらしいのですが、比較的裕福なサラームからの毎日の求愛に応じたのでした、一族通しの決めた婚姻に嫌と言えなかったのかもしれません、今は二児の母になって幸せに暮らしているはずです。


バングラデシュから帰って来たワタクシに桐田のオヤジから電話がありました、桐田のオヤジは自己破産し、かなりお金は整理したのですが、どうにかまとまったお金が作れないかと相談があったのです、ワタクシはバングラデシュという国の余韻に浸っている暇もなく現実の世界に引きずり出された感じがしたのでした。



次回に続きます、いつもご来訪いただきまして、心より感謝致します。