195.最強の二人.8 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは梅津君に電話を入れました、ルーマニアのロリーが何故、姿をけしたのかを伝える為でした。



梅津君「あっ、レイスリーさん、アリィさんと話ました?それで何だって言うんですか」


ワタクシ「ロリーは小岩にいるらしいんだけど、どうやら風俗関係の仕事をしているらしいんだ」

梅津君「えっ、風俗関係って何でしょう?」


ワタクシ「よく知らないんだけどデリィバリィ ヘルスとか言う仕事らしいけどね」


梅津君「デリィヘルですかー、何でまたー」


ワタクシ「よくわからないけど、家族の誰かが重い病気でお金が欲しかったらしいんだ」


梅津君「そ、そうだったんですか、何で言ってくれなかったんだろう」


ワタクシ「君かイラン人のどちらが本命か知らないけど、心配させたくなかったんじゃないの、幼なじみのアンドリアちゃんにも言ってなかったんだからね」


梅津君「そうですか、デリィヘルか小岩ですねー、有り難うございます、取り敢えず生きてる事がわかりホッとしましたよ」


ワタクシ「会いに行くつもりなら辞めといたほうがいいと思うけどね」


梅津君「そ、そうですねー、僕もそう思います、彼女は知られたくなかったですものねー、そりゃそうですよね、ロリーの気持ちを尊重しますよ、元気なのが判ればそれでいいですよ」


ワタクシ「じゃあ、事件も片付いたしー、フィリピンパブでも行くか、君の驕りでパアーッと行くか」

梅津君「いいですよ、お礼にご馳走しますよ、じゃあ菊谷君も連れて行きますよ」


何故梅津君がこの時ロリーの行方を必死で探したのか、ワタクシは梅津君がロリーに母親を感じたからだと思っています、福岡出身の梅津君は大学在中にお母さんさんを亡くしていて父親はその後後妻を迎えたそうです、それ以来、彼は地元にはごく稀にしか帰らないのです、男に取って母親と言うのは大きい存在なのかもしれません、苦しい思いをして生んでくれた人を男は本能で感じている、そして一緒になる人にも知らず知らずの内にその面影の一部を追いかけると言います、ルーマニア人のデブのロリーにその面影があったのではと考えると合点がいくのでした。


ワタクシ達三人は梅津君の新しいフィリピーナの恋人のシンディがいる店に向かいました、これまで何人目の恋人なのか本人も覚えてないし数えた事もないでしょう、ひょっとしたら彼は探し続けているのかもしれません、母親のような恋人を求めて、そして出逢うまでその旅は続くのでしょう。

その夜は梅津君はいつものように甘ーくシンディと語っていました、菊谷君は着いた女の子とステージで歌い踊っています、ワタクシは女の子と目と目で語り合っていました、楽しい時はあっという間過ぎ去ります、しかし楽しい時の思い出が人の活力になり頑張る気持ちが涌いてくるのです。

今から3週間ほど前、今年の3月からタイに駐在でいる梅津君に電話を入れました、今は会社から20万円の家賃を払ってもらい豪華なマンション暮らしです、日本の給料の他に現地手当てを貰い通訳付きの身分です、電話を入れた時に誰かと食事の最中でした、そして電話に出たのは菊谷君でした、菊谷君はシンガポールの駐在となり週末を利用してタイの梅津君のもとにやって来ていたのでした、二人とも相変わらずでした、日本の能天気男二人がアジアで活躍してくれるのは嬉しい限りです、仕切りにワタクシに「来い、来い」と二人して言ってくれます、いずれワタクシも「行くから待ってろ」と言い電話を切りました、日本の最強の能天気二人は今もアジアで外国人相手に能天気振りを元気に明るく発揮しているに違いないでしょう。



‘最強の二人,完


第2部‘真夏の街,を次回よりお届けさせて頂きます、引き続き宜しくお願い致します。