179.ハルの微笑み.123 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは何時ものようにパチンコを23時に終え花壇街の前の喫茶店でフルーツゲームをやりながら夕子が店を終わるのを待っていました。



そこに1人のその筋の人に間違えなさそうな人が入って来てワタクシと背中合わせの座席にドカリと座るのでした、年は50代中頃、派手なジャージに似つかわしくない革の小さなブランドバックを持ち、誰かと待ち合わせをしている様子です、5分程してもう1人、これまた派手な甚平姿の人が先に来ていた男に手を振りながら入ってきました。


男.A「おー、兄弟!久し振りだなー、変わり無さそうだな」


男.B「おう、兄弟も元気そうだ、元気が何よりだー」


男.A「ここいら辺は結構人歩いてるなー、景気良さそうだなー」


男.B「いやいや、もう前に比べればがた落ちだよ、浅草はどうなんだよ」
どうやら、この二人その筋の兄弟分らしく、1人は錦糸町、1人は浅草が縄張りらしいのですが、ワタクシの勘だと浅草の兄弟が錦糸町の兄弟にお金を借りにきたのではないかと思い二人の話しを背中越しに聞いていました。


男.A「いやー、駄目だなー、浅草は観光客だけだからなあ、俺達のところにはなかなかなあー」


男.B「そうか兄弟お互いに大変な時代になって来ちゃったよなー」
なかなか浅草の兄弟は錦糸町の兄弟に借金の事を言い出せません、錦糸町の兄弟はどうやら察した様子なのですが、お金を貸したくないのでノラリクラリと話しをそらそうとしていました。


男.A「兄弟のところはシノギもいいんだろうなー」


男.B「いやー、俺も今物入りで大変なところなんだよー」


男.A「何、どうしたの?」


男.B「娘が結婚するんだよー、一本(1000万円)は跳んじゃうだろう、頭痛いところよー」


男.A「おー、あのお嬢が結婚かー、俺達も歳取っちゃうわけだなー」


男.B「だよなー、まあ、その時は兄弟にも来てもらうんで宜しく頼むは!」


男.A「むーっ、おう、もちろんだよ、お祝い金持って駆けつけるよ!」
お金を借りようとした浅草の兄弟でしたが言い出せずに逆にお祝い金を払う嵌めに錦糸町の兄弟の方が一枚上手でした、どちらが兄かは言うまでもありません、そして兄弟たちは仲良く飲み屋に出かけて行きました、その筋の人達も色々と大変なのでした。



ワタクシと夕子はアパートを移った事で近くのパチンコ屋に行くようになりました、すっかりパチプロのようになってしまったワタクシですが、稼げども暮らしは楽になりません、それどころか苦しくなり借入金も増えるばかりです、以前からの仕事も勿論やっていてプラス、パチンコの収入、余りにも不安定な状況のように見えますが、取り敢えずはパチンコで結果を出していました、月30万から70万円ほど出すのですがワタクシの足を引っ張る者、それは夕子だったのでした。


パチンコ屋でワタクシが取っても毎日のように夕子が3万、4万と持っていってしまう、そして出ない台を追いかけてしまうのです、パチンコ屋にはタイの女の子、フィリピーナ、中国人、韓国人の女性たちがいましたが、始末が悪いのがタイの女の子です、熱くなり出玉全てを打ち込んで更に追いかけます、夕子はよしえママの店で35万円をもらっていましたが3日で使いきってしまいました、お金が無くなり笑顔が消え自然と二人は言い争いが絶えなくなっていきました。


そして気が付いた時には銀行の返済する資金もなく、家を売らざる得ない状況に追い込まれてしまっていました、といって苦しいのは銀行の返済だけで少ないながらも会社は黒字、しかし銀行の取り立ては恥も外聞もなくそんな事はお構い無しの時代でした、いよいよワタクシは家を売る決断をする事になったのでした。



次回に続きます、いつもご覧頂きまして誠に誠に有り難う御座います。