172.ハルの微笑み.116 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは先日に続いて事務所をせっせ片付けていました、雪子からの電話があり会いたいと言うのです、しかも昔二人で撮った写真も全て持って来いと言うのですが何で写真を持って行くのかと首をかしげるワタクシなのです、それよりも誰かに言わないで来る事を雪子に念押ししました。



1時間後に約束通りアパートの前で待っていると雪子が現れホテルに行こうと言います、会った瞬間の雰囲気でわかりました、雪子に夕子の事が知られているのだと、背筋が凍る思いでホテルに入ります、部屋のソファーに座るなり雪子はギロリと目を向けて「シャシン」と一言いいワタクシが恐る恐る写真を渡すとあっという間にホテルのマッチで写真に火をつけるのでした、「まっ、待てよ」とワタクシは火を消したのですが
雪子「オニイチャーン、ドウシテ チャオシュー(浮気)ナ!ユキコ モウ イラナイデショー!」


ワタクシ「いや、待てよー、浮気じゃないよ、雪子の事はまだ好きだよ、だから大阪まで行ってお金渡したんだろー」


雪子「フン、ホントネ、ジャア ソノ オンナ ドウスルノ オニイチャン?」

ワタクシ「いや~、話をしてみるよ、ネッ」


雪子「ソノ オンナト ワカレルマデ ユキコ オニイチャント アワナイナ!」


ワタクシ「わ、わかったよ」
と、その場を一応は収め、そして雪子の肩を抱き寄せベッドの中に入り事を済ましたワタクシです、ワタクシの頭の中には大江千里の「格好悪い振られ方」がグルグルとリピートしていました、雪子には違う事を言い、夕子にはまた違う事を言うその場その場を収めるのが精一杯の情けない男になっていました、いやいや、元々錦糸町に降り立った時から家族を省みず情けない男に一直線だったワタクシです、堕ちるところまで墜ちて行く運命だったのかもしれません。


ワタクシは雪子とホテルから出て別れてすぐ夕子のいるアパートに戻りました、ドアを開けると鬼のような顔をした夕子が殴りかかって来ます、前回の再現フィルムのようにワタクシは夕子をどうにか押さえつけました
夕子「アナタ ウソ バッカリ イッテ、ワタシノ コト ドウシテ バカニスルノ!!」
雪子とホテルから出て僅か15分で夕子に情報は筒抜けになっていました、雪子のルームメートの誰かが夕子にチクッたに違いないのですが、そんな事はもうどうでもよくなっていました。


ワタクシ「ちょ、ちょっと待てよ、違うよ、聞いてくれよ、雪子と別れから喫茶店で写真を渡しただけだってば」


夕子「ホントナノー、ワタシヲ マタ バカニ シテルジャナイノ」


ワタクシ「違うよ、事務所にあった雪子の荷物とか写真を渡しただけだって」


夕子「ホントワ ホテルニ イッタジャナイノー?」

ワタクシ「本当だよ、雪子のところに友達に聞いてみろよ、わかるから」
嘘に嘘を重ねるワタクシの言う事を夕子はまるで信じていませんでした、しかし辻褄だけは合わせた嘘だったのでその場だけは兎に角収まりました、もちろん後からホテルに行った事がバレて揉めることになったのですが。


その翌日の夜、仕事が終わった夕子とよしえママの台湾料理店で待ち合わせをしていました、先にワタクシが到着し夕子が来るのを待っていました、数組の客はいるものの決して好調ではなさそうです、夕子は恩あるよしえママの売り上げに協力しようと出来るだけこの店を使おうとしていました、客の応対をしたよしえママがワタクシの席にやって来ました
「駄目だねー、レイちゃんが言った通りビルの4階じゃあなかなか来ないねー、新しいお客は」


ワタクシ「まあ、まだ始めたばかりだし、これからだよ、ママ」


よしえママ「そうだよね」
よしえママと話ているところに夕子がやって来ました、そしてこの後二人にコテンパンに説教をもらってしまうワタクシだったのです。



次回に続きます、毎度ご訪問ありがとうございます、心より御礼申し上げます。