133.ハルの微笑み.77 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
7時間かけてまたまたタイにやって来ました、しかし何時にもまして暑いのです、それは何故か、ワタクシはビシッと決めた背広ネクタイ姿だったからなのです。



ワタクシ「イヤ~、暑いなあー、こりゃまた、なあ雪子」


雪子「ホント ロォーン(暑い)ナッ」
ワタクシが背広を着ていた理由、それは単なる雪子の見栄なのでした、雪子はワタクシが背広で決めているのが好きなのでした、ビシッと決めたワタクシと一緒のところを家族やすれ違う人々に見せたい、それだけの為にワタクシがクソ暑い思いをしなければならなかったのでした、歓迎口には前回と同じく弟のパンと嫁さんのノンが笑顔と合掌で出迎えていました。


二人は召し使いの如くワタクシ達の荷物を持ちます、というよりこの弟夫婦は雪子の命令は絶対なのでした、雪子のお父さん、お母さん、女の子2人、そして弟夫婦で食いぶちは雪子だけなのです、仕事をしてない弟夫婦は雪子のご機嫌をとるしかないというわけなのです、ワタクシ達はタクシーに乗り込み雪子の故郷のバンセンに向かいました。


ワタクシは宿泊は別に雪子のバラックの家でも良かったのですが雪子がエアコンのあるホテルに泊まりたくて取り敢えずチェックインし荷物を置いて背広のままタクシーで立ち並ぶバラック屋の前で降ります、近所の衆が羨望の目で背広でビシッと決めたワタクシと雪子をいやシンデレラを見ていました、ワタクシはきっとこれがやりたくてワタクシに背広で来させたのです、女の見栄は男からしたら実にくだらない物なのです、それでも愛している女の為ならくだらない注文でも男はい問わないのです。


バラック屋の住人の多くの人が見守る中を背広を着ている日本人があばら家の中に「プリティウーマン」でリチャード.ギアがコールガールのジュリア.ロバァーツを迎えに行くが如く入って行きます、前回の訪問時と変わらず雪子の両親はワタクシを仏様が来たかの如くひれ伏し合掌し「自分たちの生活を支えてくれて有り難う」という態度で出迎えてくれます、この態度だけでワタクシは雪子が来た時の300万円と今回の家の購入資金を出す事が少し救われる気持ちになるのでした。


ワタクシは雪子の両親の手を取り抱き起こします、しばらくして雪子の子供達がやって来ました、ディンとノック、雪子の血を受け継いでいるこの二人は将来必ずや美人になるであろう顔立ちをしていました、そして弟夫婦を交えて皆で食事をしました、弟の奥さんのノンはワタクシに箸を渡し日本語でこれは何と言うのか聞いてきます、ノンは綺麗とは言えませんが実に頭のいい子なのでした、前回訪問時に教えた日本語を全て覚えていて更にワタクシから吸収しようとしていたのです。

ノンがどこまでの学校に行ったかは聞かなかったのですが、彼女が本気で勉強すれば日本語は勿論英語でも或いは何の分野でもそれなりの成果を出せたでしょう、これはハルにも言えた事でしょう、日本に来て数ヶ月で会話、ひらがな、片仮名そして漢字さえも読めるようになりつつあったハルです、タイに限らず世界の貧民国には多くの優秀な人材が教育を受けれる場とチャンスが無いばかりに優秀になれるかも知れない数多くの人達が埋もれて行ってしまうのです、何でも恵まれた今の日本の中では教育を受けれる有難ささえ当たり前になり麻痺してきているのではないでしょうか。


ワタクシは格好良く言えば雪子の家族達をこの今にも崩れそうなあばら家から助け出す、という事なのですが頭の中は「いくらお金かかっちゃうのー」という事が離れません、そして次のいよいよ家の下見に行く事になるのでした。



次回に続きます、ご訪問いつも有り難う存じます、心より感謝致しております。