131.ハルの微笑み.75 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
リカコママの説得ですぐ帰るのを思い止まったかにみえた雪子ですが2週間もすると再び家を買うためにワタクシと一緒にタイに帰ると言い始めたのでした。


ついにワタクシも覚悟を決めました、ただ雪子には一括購入は金額に関わらず絶対駄目だという事、頭金以外は5年位の分割払いにする事、もし銀行でローンを組めないなら家の購入は諦める事を約束させました、そして帰国いやワタクシからすると6度目の渡タイの準備に入ったのでした。


一度決めると動きの早いワタクシ、まず雪子がオーバースティの為入国管理局に一緒に向かいました、ハルが捕まった時に面会に4.5度行った板橋にある東京入国管理局にワタクシは雪子を連れていったのです、門の前に立つとハルに面会に来た日々が思い出されました、二度と来る事がないであろうと思っていた場所にまたやって来たのでした。


一階の受付で出頭してきた事を告げ一時間ほどかかるので二階の待合室に行きました、二階は面会の受付場所で何度か訪れたところです、受付で一人のイラク人が揉めていました、どうやら仲間のイラク人が捕まり面会に来たらしいのですが、自分がパスポートや身分証明書を持っていないので面会を担当官から断られていました、面会に来た本人自体がオーバースティなのはプロじゃないワタクシが見ていても明らかなのですが受付担当者は特に厳しく尋問して捕まえるわけでもないのです、面会を諦めたイラク人は差し入れだけ渡してスゴスゴと帰って行ったのですがワタクシには不思議な光景に見えました、明らかなオーバースティの相手に入国管理局の本拠地である場所で何もしないとは、やはり入官といえども縦割りで仕事をしており余計な事はしないお役所と言うことなのかと思って見ていたのでした。


時間になり下に降りるとスグ呼び出しがかかり事務所の中に入りました、ワタクシは仔細を説明しました、大阪入官から強制送還された事も正直に話をし雪子は持っていたパスポートを差し出しました、パスポートを見て担当官はビィザが偽物か本物なのか特に何も言いません、担当が違うと偽物だろうが本物だろうが本人が帰る気持ちがある以上詮索しないのでしょうか、ワタクシが言った大阪から強制送還された事がチェックされ手続きは意外と簡単に進み、後はタイに帰る日のチケットを手配するように伝えられます、そして雪子は帰る日の前々日に再出頭するように言われそこからは飛行機に乗るまで拘束される事を聞かされました。


ワタクシはいまだに解せないのは雪子のパスポートとビィザなのでした、雪子は数ヶ月前に強制送還で間違いなくタイに返されたのです、例えアメリカかカナダの本物のビィザが有ろうが日本にトランジットで日本に入る事が可能なのか、そしてビィザを取る期間です、ワタクシと雪子が電話で喧嘩をしその一週間後には日本に来たのです、ビィザが出るには余りに早すぎなのでした、雪子に聞いても他人任せなのでパスポートもビィザも本物だと言い張るだけなのでした、何れとってもタイの闇組織は恐るべしなのでした。


チケットもこちらで手配する為ワタクシも同じ便の隣の席を確保しました、そして雪子と日本に一緒にいられるのも後3日なり橋川さんが雪子の最後という事でご馳走してくれる事になりワタクシ、雪子、梅津君、ミユキの5人が錦糸町の三百万里という焼肉屋に集まったのでした。



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