75.ハルの微笑み.20 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシ達5人は機上の人となりました、朝の便で出たのですがタイまで約7時間30分、意外と遠おいいのでした。


幸いな事に機内はがらがらで他の席に移って横になる事が出来ましたが、暇過ぎてタイ語の勉強か観光本を見るしかありませんでした、梅津君はタイの観光本‘アジアビックリ歩き方,を見てしきりにうなずいていました
ワタクシ「梅津君、そんな面白いのその本?」


梅津君「いやー、なかなか優れものですよ、これ」


ワタクシ「どれどれオジサンに見せてごらん」
(・o・)

梅津君「ここを読んで見て下さいよ」


そこにはタイがもつ二面性が書かれていました、海外からの誘致をし次々に出来る工業団地を始めアジア他国への基地として海外からの投資が増え将来のタイの経済に対する有望性とその反面、昔から変わらない貧しい人達の事が乗っていたのです。


要は需要と供給の問題なのです、タイのある場所に工業団地が立ちその工業団地に多くの企業が入りその地区の人達に新しい雇用が生まれる、少なくともその周りの街や住民はどうにかやっていける、しかしそれ以外の地区では昔さながらの観光地や港、昔からの食品を含む産業、農業そして経済を司るバンコク、それらをを除いては経済というものが成り立たない地区が余りに多いのです。

このため貧しい地区はますます貧しく貧しさ故に男はモエタイ(タイ式ボクシング)に女は身を売りバンコクを目指す事になるのです、中には親に売られていく子供達も多く存在します、買った側は臓器売買やセックス産業に更にまた売り売買される事もあるのです、そして怖いのはその事がごく当たり前の如く行われてしまう事なのです。


ワタクシはその時タイの貧しさを理解していたつもりでした、しかし所詮は本をみたり人から聞いたものでしかなかったのです、ワタクシはその後タイとの関係が深まるに連れその貧しさに触れ何も出来ない自分にもどかしさを感じていくのです。


ワタクシは本を閉じました、もうじきハルに会える、会ったら思いきって抱きしめたい衝動にかられていました、梅津君を見るとお互い目が合い、梅津君はニッコリと微笑みます、その時彼もエミを抱きしめたいという事をワタクシは感じたのです。


心地よいタイ語のアナウンスでいよいよタイへの到着が近づいて来たのがわかりました、飛行機は無事にドオンムゥアン空港に到着したのです。


飛行機の入口を出ようとするとムワッとした空気と独特な匂いが鼻を突きました
ワタクシ「この空気、この匂い、これがタイなんだな梅津君!!」


梅津君「そうですね!これがタイなんですね」


それを聞いていたみつえママは「ハハハ、あなた達は全く子供みたいだね」と笑っていたのでした。



次回に続きます。いつも読んで頂いて誠に有り難うございます。