今朝の産経ニュース(ウェブ版)の単刀直言欄にみんなの党渡辺喜美代表の「二大政党制神話を解き放て」と題するインタビュー記事が掲載されました。以下、自分自身の学びと記録のために全文を転載させていただきます。


2013.9.23 08:54

 みんなの党は結党から4年になりますが、その間、いくつもの政党ができては消えていきました。ここでまた新党をつくるんですか? 新党の失敗の連続に鑑みれば、政党ブロック(政党連合)を形成することが大事です。複数の政党で共通の政策と首相候補を掲げて選挙を戦うのが理想形です。選挙区調整といった実務の話は「エイヤッ!」でやるしかありません。今から心配していたら先に進みません。

 江田憲司前幹事長の更迭や柿沢未途(みと)衆院議員の離党は、目先にはマイナスでも、中長期的にプラスになればいいじゃないですか。遠心力が働いていたら、党内がばらけるだけです。「切り貼り新党」と政党ブロックじゃ、路線がまるっきり違う。(路線が違う人と)一緒にできるわけないでしょ。

 昨年の8月に、後に日本維新の会を結成した橋下徹・大阪市長との「新党合流」の話が決裂して以降、「切り貼り新党」は党方針ではないと再三確認しながらやってきているんです。政党ブロックの勉強会は引き続き開いて周知徹底を図ります。

 (新党結成を模索する民主党、日本維新の会、みんなの党の中堅・若手による)「DRY(ドライ)の会」は意図が問題だよね。どういう意図でやるのか…。(情報収集の)アンテナを高くしておきますよ。

 ◆結局は「アジェンダ」 

 衆院小選挙区制が導入されたときは「二大政党の時代」と言われました。二大政党をつくるためには、(いくつかの)政党が合流してまとまってやっていく。これが小沢一郎さん(現・生活の党代表)の考えでした。そこでつくられた新進党もわずか3年で失敗し、細かく分かれた。

 自由党が民主党と合併してできた現在の民主党も、政権を取るまでは良かったが、政権を取ると崩壊の一途をたどりました。この失敗の歴史はどうして生まれたのか。結局、「何をやるか」というアジェンダ(政策課題)を突き詰めてこなかったからなんですね。

 一方、自民党は小渕恵三内閣時代の金融国会(平成10年)で、金融健全化法を成立させないと日本発の金融恐慌になってしまう危機感から、公明党を抱き込み、ここから自公ブロックをつくった。憲法改正や集団的自衛権など難しい問題は棚に上げて、基本的に何をやるかという点で合意しながら、いったんは野党になったものの復活した。

 歴史を振り返れば、「切り貼り新党」モデルと政党ブロックモデルのどっちがうまくいったかは一目瞭然なんですよ。そろそろ二大政党制神話のくびきから解き放たれるべきなんです。

 ◆8兆円減税すべきだ

 安倍晋三首相が来年4月からの消費税率引き上げを決断したと伝えられています。政治家の直感として、内閣改造はしないという話が出回ったころから、「増税にいきそうだな」という臭いは感じてましたね。

 ですが、アベノミクスが目指すデフレ脱却の肝は物価安定目標。2年かけて物価をプラス2%以上に持っていこうということですから、1年目の給料が十分上がりきっていないときに、強制的に物価を上げる消費税増税をやれば、個人消費がダメージを受け、景気が腰折れする可能性が高い。成果が出るのに2年かかるんだから、その間は余計なことはしない方がいい。

 残念だけれども、安倍首相が増税にかじを切ったのであれば、税率の3%引き上げで国民から毎年、余計に8兆円を召し上げちゃうのだから、法人税、所得税の減税や給付つき税額控除など8兆円の減税をすべきです。こうすれば理論上は、増税によるマイナスの影響を回避できます。(原川貴郎)


渡辺喜美プロフィル

昭和27年3月、栃木県生まれ。61歳。父は副総理兼外相、自民党政調会長などを務めた故渡辺美智雄氏。早大政経学部、中央大法学部を卒業後、美智雄氏の秘書を経て、平成8年の衆院選で自民党公認で初当選し、現在当選6回。第1次安倍晋三内閣で行政改革担当相を務めた。21年1月に自民党を離党。同年8月に「政界再編の触媒政党」としてみんなの党を立ち上げ、代表に就任した。