しもだ玲

消費税増税をめぐる国会の動きも気になりますが、今朝の新聞でボクが一番気になったのが、上の記事でした。ということで、ネットで調べてみると、わかりやすい記事がUPされていましたので、下記サイトより部分転載いたします。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0620.html

マイクロソフト 新戦略の思惑
6月20日 19時05分

アメリカのIT企業・マイクロソフトは、自社ブランドでタブレット端末の市場に参入することを明らかにしました。
ソフトウエアで世界最大手のマイクロソフトが、コンピューターをみずから手がけるのは初めてのことで、大きな戦略転換です。
その背景について、アメリカ総局の芳野創記者が解説します。

(略)

新型タブレットの特徴は

そこで登場したのは、「サーフェス」と名づけられたタブレット端末。
マイクロソフトが初めて自社ブランドで手がけるコンピューターです。
「サーフェス」は、基本ソフトが次世代の「ウィンドウズ8」で、プログラムの処理を行うCPUのタイプに基づいて2種類あります。
最大の特徴は、ディスプレイを覆うカバー。
磁石で本体と装着するところは、アップルのタブレット端末、iPadのスマートカバーと同じです。

ところがこのカバー、裏面がキーボードになっています。
厚さわずか3ミリで感圧式の「タッチカバー」と、キーボード部分に厚みをもたせた「タイプカバー」の2種類。
もう1つ目を引くのは、タブレット端末の本体に付けられたスタンドです。
このスタンドを使えば、本体を見やすい角度で立たせることができるのです。
キーボード付きのカバーとスタンドによって、ノートパソコンのように使うことができます。
長年、パソコン市場をけん引してきたマイクロソフトならではのこだわりとも言えます。

歴史的な戦略転換

マイクロソフトは、みずからはパソコンを作らず、パソコンメーカーに基本ソフト「ウィンドウズ」を提供するというビジネスモデルで成長を続けてきました。
しかし、去年、スマートフォンの出荷台数が世界全体で初めてパソコンを抜き、パソコンからタブレット端末への移行も進むなど、パソコンを取り巻く環境は急激に変化しています。
マイクロソフトは、ウィンドウズ頼みの経営から脱却するため、業務用ソフト「オフィス」やサーバー用のソフトの販売を強化し、ことし1月から3月までの四半期決算では売上高がこの期としては過去最高を記録しました。

ただ、コンピューターの主役がスマートフォンやタブレット端末に移り、ライバルのアップルや韓国のサムスン電子に巨額の利益をもたらしたこともあって、この分野に出遅れていたマイクロソフトは危機感を強めていました。
そこでマイクロソフトがとった戦略は、次世代の基本ソフト「ウィンドウズ8」をスマートフォンやタブレット端末に対応させるということです。
この秋以降に発売されるとみられる「ウィンドウズ8」は、巻き返しの切り札ともいえます。
それでも、マイクロソフトはまだ不十分だと考えました。
「ウィンドウズ8」の販売に弾みをつけ、アップルに対抗するには、自社ブランドでのタブレット端末を開発すべきだと判断したのです。
この分野でのハードへの参入は、ソフトを主軸に据えてきたマイクロソフトにとってはビジネスモデルの歴史的な転換ともいえるものです。

ハードとソフトの連携

それではマイクロソフトが参入するタブレット端末の市場はどういう現状でしょうか。
アメリカの調査会社、IHSアイサプライによりますと、世界のタブレット端末市場のシェアは、去年、アップルが62%、サムスン電子が9%、アマゾンが6%。
アップルの競争力が際立っています。
アップルはことし3月、ディスプレイの解像度を大幅に高めた新型のタブレット端末、iPadを投入しており、その勢いはとどまるところを知りません。
後発で、しかもこれまでソフトの開発に重点を置いてきたマイクロソフトに勝ち目はあるのでしょうか。

(略)

マウスやキーボードなどがパソコンの付属製品だったのに対して、タブレット端末はそれ自体が主力商品となるものでこれまでの商品戦略とは一線を画すものだからです。
ただ、バルマー氏がハードとソフトを両輪として捉えているということは、マイクロソフトのこれからの戦略を見るうえで非常に重要な点だと思います。
ウィンドウズという基本ソフトに絶対的な自信をもっていた時代、マイクロソフトは、ハードのパソコン機器については他社に任せてもコンピューター業界の盟主としての地位を保つことができました。
しかし、今やハードとソフトを統合するというビジネスモデルで成功を収めたアップルが、革新的なハード機器を次々に投入し、マイクロソフトの専売特許だったソフトの領域を脅かす存在となっています。
今回のマイクロソフトの発表は、このまま黙っているわけにはいかないとアップルに正面から勝負を挑んだものとも言えそうです。

今後のIT企業の競争は

アップルの成功の決め手となったハードとソフトの一体化というビジネスモデル。
アメリカのIT業界の間では、マイクロソフト以外にもこのモデルを志向する動きが出ています。
グーグルは、先月下旬、通信機器大手のモトローラ・モビリティーの買収手続きを終えました。
インターネット上では、グーグルが独自のタブレット端末やスマートフォンの開発に乗り出すのではないかという見方も出ています。
また、アメリカの複数のメディアは、世界最大の交流サイト、フェイスブックが来年にも独自のスマートフォンを開発すると報じています。
今後、IT業界の激しい競争に生き残るためには、ハードとソフトの総合力が問われることになるのかもしれません。

こうしたなかで1つ指摘しておきたいのが日本企業の今後です。

パソコン市場では、「ウィンドウズ」を採用するハードウエアメーカーとして、マイクロソフトと共存してきた日本メーカーですが、マイクロソフトのビジネスモデルの転換によってどのような影響を受けるのでしょうか。
ソニーやパナソニック、東芝など、日本メーカーは、それぞれのタブレット端末に、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を採用していますが、圧倒的なシェアを持つアップルやサムスン電子を前に苦戦が続いています。
マイクロソフトが自社開発のタブレット端末を投入すれば、これまでの盟友、マイクロソフトも強力なライバルとなってしまいます。
IT業界の巨人たちがハードとソフトの総合力をかけて真っ向からぶつかり合うことになれば日本メーカーの競争力がさらに弱まることにもなりかねません。
日本メーカーは生き残りに向けた戦略の練り直しを迫られることになりそうです。