次回→まだだよ(´へωへ`*)
莉夢side
「しのー!しのー!!どこー!?」
ゾンビの亡骸(?)を持ちながらしのを探す。亡骸はズルズルと鈍い音を立てて私についてくる。
亡骸を持っているのは決して両手というわけではない。右手だ。
じゃあ左手にはなにがあるか?....鎌だ。
この鎌は1年B組にあったものを持ってきた。
保健室にはしのはいなかったがなんか声が聞こえ、1Bに引き返したらあったというわけだ。
『.....先輩。いつまでそれ、持ってるんですか。気持ち悪いです。』
鎌には赤毛に後ろ髪を前に垂らした少女が映っていた。
もちろん、この場にいるのは私一人だ。
つまり、彼女自身がこの鎌なのである。
「うっさいのん。私仮にも先輩。」
『すいません。あの、先輩、一回美術室に行っていただけませんか。』
「なんで?」
『いいからお願いします。』
「分かった分かった」
くるっと半回転し剣道部など武道部が部室でもある武道館の隣にあるB棟。ここには私達の部室である美術室の他美術準備室、2階には少人数教室がある。
B棟は最近出来たから、美術部以外はあまり立ち寄らない棟である。
1階にある理科室、保健室のあるA棟から一回外に出てB棟に向かうので、びゅうっと寒波が押し寄せるが、もう慣れた話だ。
こんなものできゃーっさむーい!と言ってる吹奏楽部を冷ややかな目でみるのも日課となっている。
ガスッB棟のドアを蹴る。
『先輩。なんかイライラしてます?寿命縮まりますよ?』
「うっせ」
心配な目を向けられたような気がする。
別にイライラしているわけではないんだけどな。
幸い、美術室のドアはあいていた。
ガラッと開けて鎌をトンと床に一突きする。
「目的の場所についたよ」
『ありがとうございます。私の引き出しを開けていただけますか?』
引き出しとは、美術部が活動用に部活専用の筆箱や画材(水彩色鉛筆、水彩絵の具、アクリル絵の具、コピック、万年筆、トーンなど)画用紙、セロハンテープ、のり、鋏などの文房具を入れておく個人的な道具を入れておく場所が準備室にある。.....お陰様で、この待宵学園の美術準備室は、理科準備室、家庭科準備室、技術準備室、音楽準備室、体育倉庫ましてや運動部の部室
よりもでかく、一番小さい技術準備室が軽く3つ分入るくらいの大きさであることも事実だ。
ちなみに、私の引き出しの中には、筆箱などの文房具と色鉛筆とコピック、水彩、アクリル絵の具が入っていて、これでも貧相な方である。
のんの引き出しの中にもそのぐらいしか入ってなかったが一つだけ、気になるのがあった。
水彩でもアクリルでも油絵の具でもない絵の具のようなもの。私は、画材店などに同じ学年の子達でよく行くが、このパッケージは見たことがなかった。
「これは.....」
『その黄色の絵の具を少しだけ私の刃に塗ったあと、一振りして下さいな。』
言われた通りにすると鎌はすごい勢いで光りだした。
「わっ...!眩し...!」
『その絵の具を刃に塗ると色の効果を発揮するんです。赤だと炎、青だと水、水色だ
と風、紫は闇....』
なにそれ便利。
『さて、説明途中の間悪いのですが.....囲まれましたよ。』
え.....マジだオワタ\(^o^)/
でも、大丈夫なんだよ。
青の絵の具をとった。
「水具!水流の波紋!」
結果だけ言うと....一撃必殺だった。
『あの....青の絵の具はポケ◯ンのハイドロ◯ンプみたいになるって知ってて波紋って言葉使ったんですか?』
「し、知らなかったわよ!!もうちょっと波紋っぽく.....」
『波紋って、どれだけ水を出すつもりですか....』
「う~.....と、とにかく!今度は体育館!体育館に行こう!!」
『なにか根拠は?』
「そんなの勘に決まってるでしょう!勘!私の予言はよく当たるんだから!」
『勘で予言とは....中々興味深いですね....そういえば、先輩、プレゼントフォーユー♡』
急に視界がぼやけたと思えば視界がこれまで以上によくなった。
『私の眼鏡です。私の視界が真っ暗じゃ、流石に困ります。』
「じゃ、じゃあ、さっきの囲まれたっていうのは...!?」
『気配がしたからに決まってるじゃないですかやだー!』
美術部だから、このようなネタも完璧だ。
というわけで、のんの遺品(?)である赤縁の眼鏡をして体育館に向かうことになった。
B棟にある美術室からA棟の体育館までは割と距離があるが一本道だ。なので、とりあえず、のんと情報交換をすることにした。
内容はしのについて。まず最初にしのについて言われたのは、「本当に嫌われてるんですか?」だった。
分かりやすく解釈すると一年の中では『篠河先輩』は大人気なのだという。
クールでカッコ良く、弓の心得をしっかり持っている人....らしい。
『私の友達に弓道部の子がいてそう言ってました。』
と、述べる。
うーん.....
「あまり自分を語らない人だから....」
と苦笑した。
『先輩はどうしてその篠河先輩と仲良くしてるんですか?嫌われてると分かっているのなら、近づかないで別の友達と仲良くするのが妥当でしょう?先輩阿呆なんですか?』
う、うん....確かに、のんの言う通り、そっちの方が妥当だろう。
「私には、夢があるの。そのための準備だよ。すごくくだらない、けど、大事な夢。」
『あの...その夢って?』
「ふふ、いつか教えてあげるよ。いつか....のんが私の世界観というものが理解できた時にでもね。」
と、少し意味深な言葉を残した。
理由は二つ。
一つは単純に知られたくないから。
もう一つはもう目的地だから。
体育館に入るとゾンビがやっぱり5匹ぐらいいた。
そのゾンビは一つのところに丸を作り、何かを殴っていた。
「っ、しの!」
鎌を持って走り抜ける。
5匹ぐらいどうってことはなかったが、問題は、その後だった。
「しの!」
カラーン
『痛っ!投げないで下さいよ!』
痛がる様子を表している後輩なんかそっちのけでしのに駆け寄った。
幸い、息はしていて、5分ぐらいで目を覚ました。
「しの....その....」
謝ろうとして寄った時
「近寄らないで。」
ドン!
しのに思いっきり押されて転げた。
「あの子に化けるなんて、いい度胸してるじゃない。『埋葬曲(レクイエム)の少女』。」
はぁ??
「残念ね。私はあの子の亡骸を見たのよ。なのに、あなたはいる。だから、今は2つの魂しかいない。つまり私とあなたよ。『埋葬曲の少女』!」
わぁー.....なんか勘違いしてる。しかも弓構え始めちゃった....
さて....どうしよう.....!?
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