Mさんのこと | オーバー環の音楽人生

オーバー環の音楽人生

役職定年になった途端にコロナ禍、料理人も続けつつ音楽活動にハマっています。

私が自分の店を潰してラヴィモア立ち上げに関わる狭間の約二年間、
お世話になった店があります。
盛岡で一番有名な対面式鉄板ステーキ屋さん、といえば「あそこね」
と心当たる方も多いはず。

そこの支配人とは元同僚の縁で、社長面接の上で受け入れていただいたのですが、
こんなすれっからしのタヌキを押し付けられる料理長は心穏やかじゃないはず。

でも、私の境遇を察して下さって、快く迎えて下さって・・・
とにかくよく身体の動く、びっくりするほど手先が器用な方でした。

小柄な方でしたがお顔立ちもハンサムで、何より低音の声がいい。
「声が良くなければ顔が良くても女性にはモテない」という話を
聞いたことがありますが、両方兼ね備えてるんだから、社内一の別嬪さんが
メロメロになってましたけど、「オヤジをからかうもんじゃない!」と
言ってもその別嬪さんは飲み会のたびにMさんにしなだれかかってました。

なんと羨ましい!

とにかく私はMさんの下でご恩に報いようと頑張り、職人同士飲みにも
よく誘っていただきました。
修業時代以来、心底尊敬出来る料理人が3人いますが、Mさんはその一人。

私がラヴィモアの料理長に就任するのも、応援してくれて喜んで下さいました。

私がラヴィモアで忙しくなり始めた頃「Mさん、白血病で入院してます」
と後輩から連絡が。
一時は退院して職場復帰もなさいましたが、ある日突然訃報が届きました。

私がその店を辞める前、Mさんと飲んでてこう言われたのを思い出します。
「佐々木さんが来てくれたおかげで職場の風通しが良くなった。」

本当に申し訳ない。
風通しは良くなったかもしれないけど、私はその責任も取らずに辞めてしまった。
でも、Mさんに分かってもらえるよう、私もラヴィモアで頑張ってます。

休憩が終わったあとの「さ、始めますかー」というあなたの小気味よく
響く声、大好きでした。

そのうち行きますからまた飲みましょうね。