この作家、アメリカンコミック「サンドマン」の原作者
だったり、映画「もののけ姫」の英語版脚本を書いたり、
そもそも作家としてのデビューが「デュランデュラン」
の伝記だったり、とポップカルチャー的なキャラが透けて
見えますが、この小説もドタバタ感満載のファンタジー。
イギリスの作家の小説を読むと、こんな印象が。
1・さすがシャーロック・ホームズの国だなあ。
2・さすがハリーポッターの国だなあ。
3・さすがモンティ・パイソンの国だなあ。
4・さすが島国だなあ。
この作家、2,3の要素が強いか。
多分一神教にアンチな立場な人。
「アナンシ」というアフリカの蜘蛛の化身の神様をテーマに据え、
世間や身内、その他ありとあらゆる動物の神様にトンデモな
いたずらを仕掛けますが、「なぜそんないたずらをするのか!?」
という問いに対して「楽しいからさ!」と答えるような能天気さ。
でもね、一神教で、人間は弱いもの、みな神の子としながら教えに
背くと未来永劫の苦しみを与える、その度量の狭さって何よ?
「トラの教えを書き換える」ってとこに、すごい共感を覚えます。
蜘蛛の神様、人間でいる時は歌と踊りが上手くてモテモテ。
初期のテリー・プラチェットと共著の「グッド・オーメンズ」
も面白かったけど(テリー・プラチェットさん、若年性
アルツハイマーに罹られたそうで、なんとも・・・)
宗教色がちょっと薄いこの本のほうが楽しかったかな。
ジャケットもカワユすw

しかし冒頭のアナンシ(親)の絶命シーンで、「片手は胸を押さえ、
逆の手はまっすぐ伸ばしたままでカラオケのステージから倒れ
落ちる時、ステージ前の観客のチューブトップに手が絡まって
(しかもその一群の中では一番巨乳)それが自分の最後の望み
のように、チューブネックをずり下げるのを忘れなかった。
あらわになった乳首が、その怒りを表すように会場をにらんでいた」
これ、傑作です。
たまににらまれてる気になりますもんw