アナンシの血脈 | オーバー環の音楽人生

オーバー環の音楽人生

役職定年になった途端にコロナ禍、料理人も続けつつ音楽活動にハマっています。

ニール・ゲイマンという、イギリスの作家のファンタジー。
この作家、アメリカンコミック「サンドマン」の原作者
だったり、映画「もののけ姫」の英語版脚本を書いたり、
そもそも作家としてのデビューが「デュランデュラン」
の伝記だったり、とポップカルチャー的なキャラが透けて
見えますが、この小説もドタバタ感満載のファンタジー。

イギリスの作家の小説を読むと、こんな印象が。
1・さすがシャーロック・ホームズの国だなあ。
2・さすがハリーポッターの国だなあ。
3・さすがモンティ・パイソンの国だなあ。
4・さすが島国だなあ。

この作家、2,3の要素が強いか。
多分一神教にアンチな立場な人。
「アナンシ」というアフリカの蜘蛛の化身の神様をテーマに据え、
世間や身内、その他ありとあらゆる動物の神様にトンデモな
いたずらを仕掛けますが、「なぜそんないたずらをするのか!?」
という問いに対して「楽しいからさ!」と答えるような能天気さ。

でもね、一神教で、人間は弱いもの、みな神の子としながら教えに
背くと未来永劫の苦しみを与える、その度量の狭さって何よ?
「トラの教えを書き換える」ってとこに、すごい共感を覚えます。

蜘蛛の神様、人間でいる時は歌と踊りが上手くてモテモテ。
初期のテリー・プラチェットと共著の「グッド・オーメンズ」
も面白かったけど(テリー・プラチェットさん、若年性
アルツハイマーに罹られたそうで、なんとも・・・)
宗教色がちょっと薄いこの本のほうが楽しかったかな。
ジャケットもカワユすw
$Ravimore Chef Blog

しかし冒頭のアナンシ(親)の絶命シーンで、「片手は胸を押さえ、
逆の手はまっすぐ伸ばしたままでカラオケのステージから倒れ
落ちる時、ステージ前の観客のチューブトップに手が絡まって
(しかもその一群の中では一番巨乳)それが自分の最後の望み
のように、チューブネックをずり下げるのを忘れなかった。
あらわになった乳首が、その怒りを表すように会場をにらんでいた」
これ、傑作です。

たまににらまれてる気になりますもんw