「痛い」と訴えるその声の奥にあるものは、決して数値では測れない。
そして、「この痛みは一生続くのではないか」という、終わりの見えない闇。
Snow Man総合病院・ペインクリニック外来。
そこは、治療を受けてもなお残り続ける「痛み」を抱えた患者たちが、最後に辿り着く場所。
「……その痛みごと、私が引き受けよう。」
そう言って、患者のすべてを預かる一人の医師がいた。
痛みの終着点
【麻酔科医とは】
麻酔科医の仕事は、一言でいうと「手術中から術後の痛みまで、患者さんの『生命維持』と『快適さ』をコントロールする専門家」。手術の麻酔、術中の全身管理を担い、また、手術の前日などに病室を訪れ、患者さんに麻酔の説明をしたり安全に麻酔をかけられるかを確認する。ペインクリニック外来(痛みの治療)ではガンによる強い痛みや、帯状疱疹後の神経痛、慢性的な腰痛などに対し、飲み薬の調整だけでなく神経ブロックなどの高度な技術を駆使し外来で治療を行う。
今回は、麻酔科・宮舘先生による「痛みを美学で鎮める」外来の様子と、術前訪問のエピソード。
①【ペインクリニック外来】
Snow Man総合病院のペインクリニック外来。
そこは、原因不明の痛みや、帯状疱疹後の耐え難い神経痛に苦しむ患者さんたちが最後に辿り着く「救いの砦」。
帯状疱疹の痛みに、顔を歪めて椅子に座る患者さん。
「先生、もうこのピリピリした痛みが一生続くかと思うと、怖くて夜も眠れないんです……」と、絶望の色を浮かべる。
そこへ、診察室の空気を一瞬で浄化するような、舘様の穏やかな低音が響く。
舘様:
(ゆっくりと患者さんの正面に座り、まるで宝物に触れるように、患者さんの問診票を指先でなぞる)
「……。……。苦しかったね。……。……。君の体が奏でているその『痛み』という悲鳴。……。……。私には、しっかりと届いているよ。」
患者:
「先生……治るんでしょうか……。」
舘様:
(不敵に、しかし太陽のような温かさで微笑み)
「……ふっ。……。……。心配はいらない。……。……。今から私が行うのは、神経ブロックという名の『安らぎへの招待状』だ。……。……。君の神経に、一時の休暇(バカンス)を与えよう。」
カーテンで仕切られた処置スペース。
舘様:
(白い手袋をシュパッとはめ、針の先を光に透かす)
「……。……。……。さあ、深呼吸を。……。……。痛みというノイズは、私が全て預かろう。……約束しよう。『ゼロ』にはできない。……だが、『耐えられる痛み』までは必ず連れていく。…………パーティーの始まりだ。」
「……ここで少しチクッとする。だが、その一瞬で世界は変わる。」
(迷いのない、流れるような刺入。患者が痛みを感じる前に、的確に神経の根元へ薬液を届ける。その手捌きは、もはや「処置」ではなく「芸術」)
処置を終え、患者さんが「あれ……? 嘘みたいに痛くない……!」と涙ぐんで部屋を出ていく。
そこへ、病院イチのムードメーカーで「切込隊長」のさっくん(小児科医)がたまたま通りかかり乱入。
さっくん:
(ドアをバーン!と開けて)
「涼太ー! お疲れ様でやんすー! 今、外ですれ違った患者さん、めちゃくちゃ笑顔だったよ! 『魔法使いみたいな先生がいた』って拝んでたよ!」
舘様:
(乱入されても眉ひとつ動かさず、優雅に手袋を外して)
「……。……。……。佐久間。……声が大きいよ。……。……。ここは痛みを鎮める『静寂の聖域』だ。……。……。君のその……高周波なボイスは、少し刺激が強すぎるな。」
さっくん:
「えへへ、ごめんごめん! でもさ、涼太のその『神経にバカンスを』ってセリフ、廊下まで漏れ聞こえてきて、俺もう胸熱で飛び跳ねちゃったよ! さすがスノ総のロイヤル・サポーター!」
舘様:
(少しだけ呆れつつ、でもどこか嬉しそうに)
「……。……。……。君の小児科も、子供たちの泣き声が笑顔に変わる『魔法の場所』だろう。……。……。私も、負けてはいられないからね。」
Snow Man総合病院、ペインクリニック外来。
帯状疱疹の激痛を「バカンス」に変える騎士、麻酔科医 宮舘涼太。
その完璧な仕事を見届けに(?)現れたのは、小児科の太陽、佐久間大介。
『涼太ー! さっきの患者さん、魔法使いって言ってたよ!』
『……。……。佐久間。……。……。静かにしたまえ。』
クールでロイヤルな舘様と、全力で褒めちぎるさっくん。
静かな治療の後に訪れる、この賑やかな時間が、実は舘様の、一番の「心のバカンス」……かもしれない。
②【術前訪問】
手術前日の夕方。
消化器外科の病室。
患者さんは、手術説明書を何度も読み返し、不安で指先を震わせている。そこへ、鳳麗香医長が舘様を伴って入室。
鳳医長:
「失礼。……。……明日、執刀を担当する鳳です。……。……。不安そうな顔ね。……。……。無理もないわ。……でも、私のメスに迷いはない。……。……。そして、あなたの『眠り』を完璧にエスコートするのが、この宮舘先生よ。」
舘様は、ゆっくりと患者さんのベッドサイドに膝をつき、目線を合わせる。
その動作ひとつひとつが、まるで舞踏会の招待のように優雅だ。
舘様:
「……。……。初めての手術。……。……。暗い海の底へ沈んでいくような、そんな恐怖を感じているのかな。……。……。……。でも、安心してほしい。」
患者:
「先生……私、ちゃんと目が覚めるでしょうか……。麻酔、怖いです。」
舘様:
(患者さんの震える手を、触れるか触れないかの距離で見つめ、深く頷く)
「……。怖くていい。その恐怖ごと、私が管理する。……。私の麻酔は、君を優しく包み込む『最高級のドレス』だ。……。……。……。君が眠っている間、私は一秒たりとも君のそばを離れない。……君の鼓動を聴き、呼吸を数え、痛みというノイズから君を完全に遮断しよう。……手術中に体で起きる変化は、全て私が先に知る。……。……。君が次に目を開ける時、そこには鳳先生が繋いだ、輝かしい未来の光が待っている。」
鳳医長:
(舘様の言葉を隣で聞き、ふっと口角を上げ)
「……聞いた? 宮舘先生がそう言うなら、あなたはただ、心地よい夢を見ていればいい。……。……。……宮舘先生、今のエスコート……まぁ、及第点ね。」
舘様:
(立ち上がり、鳳先生に優雅に一礼して)
「……。……。光栄だ、鳳先生。……。……。最高の『目覚め』を。……。……。明日、オペ室でお待ちしています。」
Snow Man総合病院、消化器外科病棟。
大きな手術を前に、不安で震える30代の女性患者さん。
執刀医・鳳麗香医長の凛とした強さと、麻酔科・宮舘涼太の、騎士のような優しさが交差する。
『私の麻酔は、君を包み込むドレスだ。』
恐怖という霧を、気品ある言葉で晴らしていく。
執刀医と麻酔科医、二人のプロフェッショナルが患者さんの「未来」を全力で守り抜くことを約束した夜。
「主役は外科医でいい。だが……その舞台を成立させるのは、私だ。」
「……及第点ね。」と呟く鳳先生の横顔に、スノ総の絆の深さが見えた。
ーー次回予告ーー
外来で「痛み」をほどく者は、手術室で「命の時間」を預かる者でもある。
意識を手放すということは、自分の命を、誰かに完全に委ねるということ。
それは、信頼であり——同時に、恐怖でもある。
次回
「誕生の序曲」
産声が響くその瞬間まで、
彼は決して、目を逸らさない。
