
8.アダモは第3スタンザで次のように歌っています。
Ne vois-tu pas, humble chapelle,
toi qui murmures "paix sur la terre",
Que les oiseaux cachent de leurs ailes
ces lettres de feu "Danger frontière!"
Ne vois-tu pas, humble chapelle,
toi qui murmures "paix sur la terre",
Que les oiseaux cachent de leurs ailes
ces lettres de feu "Danger frontière!"
慎ましやかな礼拝堂よ 見ないのか
"地に平和を"とつぶやく おまえよ
鳥たちがその翼でおおっている
"国境危険"の火の文字を
"地に平和を"とつぶやく おまえよ
鳥たちがその翼でおおっている
"国境危険"の火の文字を

このスタンザは次の聖句を思い起こさせます。
平和をこそ、わたしは語るのに/彼らはただ、戦いを語る。【旧約聖書・詩篇 120:7】
あなたの国境に平和を置き/あなたを最良の麦に飽かせてくださる。【旧約聖書・詩篇 147:14】
彼らは、おとめなるわが民の破滅を/手軽に治療して/平和がないのに「平和、平和」と言う。【旧約聖書・エレミヤ 8:11】
"「エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、わたしはお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。
見よ、お前たちの家は見捨てられて荒れ果てる。
言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない。」" 【新約聖書・マタイ 23:37~39】
見よ、お前たちの家は見捨てられて荒れ果てる。
言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない。」" 【新約聖書・マタイ 23:37~39】
すると、火のように赤い別の馬が現れた。その馬に乗っている者には、地上から平和を奪い取って、殺し合いをさせる力が与えられた。また、この者には大きな剣が与えられた。【新約聖書・黙示録 6:4】

9.リリクスは第2スタンザの“coquelicot sur un rocher/(ある1つの)岩の上のコクリコ”に始まり、第9スタンザの同文に返って(第9スタンザ全体は、後に引用しますが、第2スタンザの変形で、全体としての意味は少し違っています)、エンディングの第10スタンザへ繋がってゆきます。
第10スタンザにも “Requiem pour 6 millions d'âmes qui n'ont pas leur mausolée de marbre/大理石の霊廟(墓)を持たない 600万の魂へのレクイエム” と岩や石に係わる表現があります。既に、他にも記してきましたが、岩、石は、聖書では、重要な象徴性として、現われています。
"見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つ。あなたはその岩を打て。そこから水が出て、民は飲むことができる。」モーセは、イスラエルの長老たちの目の前でそのとおりにした。"【出エジプト 17:6】
"主のほかに神はない。神のほかに我らの岩はない。"【2サムエル 22:32】
"主は命の神。わたしの岩をたたえよ。わたしの救いの神をあがめよ。"【詩篇 18:46 (47)】
"どうか、わたしの口の言葉が御旨にかない/心の思いが御前に置かれますように。主よ、わたしの岩、わたしの贖い主よ。"【詩篇 19:14 (15)】
"主よ、あなたを呼び求めます。わたしの岩よ/わたしに対して沈黙しないでください。あなたが黙しておられるなら/わたしは墓に下る者とされてしまいます
嘆き祈るわたしの声を聞いてください。至聖所に向かって手を上げ/あなたに救いを求めて叫びます。
神に逆らう者、悪を行う者と共に/わたしを引いて行かないでください。彼らは仲間に向かって平和を口にしますが/心には悪意を抱いています。"【詩篇 28:1~3】
嘆き祈るわたしの声を聞いてください。至聖所に向かって手を上げ/あなたに救いを求めて叫びます。
神に逆らう者、悪を行う者と共に/わたしを引いて行かないでください。彼らは仲間に向かって平和を口にしますが/心には悪意を抱いています。"【詩篇 28:1~3】
"そして、シモンをイエスのところに連れて行った。イエスは彼を見つめて、「あなたはヨハネの子シモンであるが、ケファ――『岩』という意味――と呼ぶことにする」と言われた。"【ヨハネ福 1:42】
"シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。
すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。
わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。
わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」" 【マタイ 16:16~19】
すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。
わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。
わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」" 【マタイ 16:16~19】
引用した【ヨハネ福 1:42】はアンデレが兄弟のシモンをイエスのところに連れて行って、イエスがシモンをケファと呼んだことを伝えています。ケファ/kêfâとはアラム語(当時、ユダヤ人が使っていた言葉)で石、岩の意味を持ちます。後に聖ペトロと呼ばれる使徒のリーダーを、イエスは〔石、岩〕と名づけたのです。ペトロの名前の変遷をたどれば次のようなものです。
Ben-Yonah(or)Bar-Yonah, Simon(アラム語:ヨハネの子シモンの意)<kêfâ(アラム語)<Kēphas(ギリシア語;音訳)<Pétros(ギリシア語;意訳)<Petrus(ラテン語)< Pietro(伊)/Pierre(仏)/Peter(英、独)etc.
kêfâからPetrusを経て現代語までの名前は、すべて石、岩という意味を持ちます。「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる」という不思議な言葉は、ヴァチカンで実現されています。初代教皇ペトロはローマで殉教しましたが、サンピエトロ(聖ペトロ)大聖堂はその墓の上に建てられ、「天の国の鍵」は今日も受け継がれているそうです。それで、「天の国の鍵」がクロスした図像は、ヴァチカン国の紋章になっています。国旗にも描かれています。

ヴァチカンの国旗と国章 
10.聖書は、また次のように伝えています。
"ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。
それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、
彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた"【ヨハネ福 19:13~15】
それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、
彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた"【ヨハネ福 19:13~15】
《「敷石」という場所》の敷石/Gabbathaは、最新のカトリック教会のフランス語訳エルサレム聖書っでは、Dallageと訳されていますが、歴史的には、ほとんどPavéと訳されてきました。Pavé(パヴェ)はより日常的な言葉で、舗石も舗道も意味します。英語に入ってpave(動詞:舗装する)pavement(名詞:舗道)となった言葉です。
Les femmes tombent sous l'orage.
Demain, le sang sera lavé.
La route est faite de courage,
une femme pour un pavé.
Demain, le sang sera lavé.
La route est faite de courage,
une femme pour un pavé.
女たちは暴風雨に倒れる
明日、血は洗われる
道は勇気で造られる
1人の女が1つの舗石として
(3番:第8スタンザ)
明日、血は洗われる
道は勇気で造られる
1人の女が1つの舗石として
(3番:第8スタンザ)
《le lieu qui est appelé [le Pavé],et en Hébreu Gabbatha/ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所》 の先はVia Dolorosa(ヴィア ドロローサ)と呼ばれる痛苦と悲しみの道。十字架を負わされたイエスが、血を流しながら、倒れながら、カルワリオ(ゴルゴタ)へ向った道です。今も、聖墳墓教会まで、敷き詰められた舗石の道が続いています。

"民衆と嘆き悲しむ婦人たちが大きな群れを成して、イエスに従った。
イエスは婦人たちの方を振り向いて言われた。「エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。むしろ、自分と自分の子供たちのために泣け"【ルカ 23:27~28】
イエスは婦人たちの方を振り向いて言われた。「エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。むしろ、自分と自分の子供たちのために泣け"【ルカ 23:27~28】

(つづく)











