蒲田日記❶ 信濃路 もり天そば 370円
黒湯温泉は10時からの営業だ。
そして鳥万は16時からの営業。
鳥万は開店前から行列ができる人気の大衆酒場なので16時前に並ばないと飲めない可能性もある。
だから温泉でリセットするために蒲田に来てなるだけ温泉にいる時間を長くしたくとも10時から15時20分の5時間という
ことになるのだ。
ここの温泉は素晴らしい。
なのでもう少し温泉にいたい。
しかし鳥万は僕にとって船橋のあまから屋にかわるいきつけの酒場ということでかならず鳥万で飲みたいのである。
今のところはそんな感じの土曜日である。
朝10時の開館時間に行くためには9時ちょっとすぎまでに朝昼兼用で趣味のたべ歩きをしなくてはならない。
ところが蒲田で朝9時前に営業している店はきわめて少なく選択肢が限られる。
メニュー豊富な信濃路に救われている。
信濃路は「たちぐいそば本」でとりあげられることもない。
古くからの営業なのになぜかたちぐいそばの名店からオミットされている。
実は自分も信濃路はただ安くて普通にスピーディーに提供する平均レベルのこだわりのないそばうどんの店という認識だった。
ところが前回この写真のこのポジションに座っていて、麺箱から打ち粉たっぷりの生そばをとりだし茹で、タイマーがなって
冷水でもみ洗いしているのを見てしまったのだ!!!!
すごい衝撃だった。
まずそばのもみ洗いがそば職人とかわらない感じがあったし、麺箱から取り出した細いそばが生きているかのようで、
なかなかいいそばだと思ったのだ。
ではなぜ、僕はこのそばをたちぐいそば屋の平均的なゆで置きそばと思ったのだろうか。
僕たちには決めつけというものがある。
先入見というものも大きく影響する。
正直、信濃路の外観とか店内は老朽化しているしそれほどきっちり整理もできておらず仕入れた段ボールなどが積まれていたりする。
朝からお酒を飲んでいる人たちが奥のカウンターにぎっしりだし、特別そばにこだわった店ではないという「決めつけ」が
生じるのである。
いろいろな方のブログを読んでいてもここのそばを絶賛する人はいない。
もしいるのであれば教えていただきたい。
ああ!! あんなに素晴らしいそばをゆで置きにするとは!!!
細いそばだし延びてしまうのもすぐだろう。
しかも硬めにゆでていない。
だからたしかにスピーディーに提供されるのだけれどもそばはのびていてぐんにゃりとしている。
そういったそばを食べればやはりここのそばを絶賛ということにはつながらないのだろう。
でも僕は「見てしまったのだ」
信濃路であの素晴らしい生そばを見て、次回はぜひとももりそばでいただきたいと思った。
それも充分に楽しむために二枚盛りで!!!
誰もがどうでもいいそばと・・・そこまでは言ってはいないけれども、僕を含めて高く評価していなかったそのそばを
僕は僕の舌で味わい、そうではない!!!、ものすごくすばらしいそばなのだと書きたかったのだ!!!!
信濃路のもりそばは290円。天もりは370円。
ざるそばは350円。天ざるは430円。
もりとざるの違いは刻み海苔があるかないか。
60円も違うのなら当然僕はもりである。
ちなみに「冷やしたぬき」は340円で天もりより30円安い(笑)
いきなり品川だけど!!!
この日、やっぱり僕は山手線の常盤軒までわざわざ歩いて行って写真を撮った。
常盤軒では、もりそばはないようだけれども信濃路の天もりと同じような感じで「冷やしかき揚げ」は510円。
信濃路の「冷やしたぬき」と同じ「冷やしたぬき」は490円である。
さあ、信濃路の天もりだ!!!
どーっていうことのない普通のたちぐいそば屋の天もりだ!!
プラスティックの・・・100円ショップ的な容器での提供だ。
お値段としてはかき揚げそばが370円なので天もりでも値段はアップしていないというサービスぶりだ。
ゆで置きのそばは冷蔵庫の下段にある大きな寸胴にテボごといれて冷やされる。
もちろんかき揚げも揚げ置きである。
このそば。
星も少しちりばめられている。
うすい茶色だ。
見た感じ・・・・二八ではないかも・・・
小麦粉のほうが多い感じだ。
そして値段からすれば中国産のそば粉なのかもしれない。
つゆはおそらくだけれどもちゃんと出汁を引いていてその出汁で返しを割っている。
出汁の風味を感じたからだ。
やや濃いめで甘味は抑えている。
かつ丼とそばのセットにしてそばは二枚盛りにしようと思っていたのだけれども天もりにしたナルナル。
う~~ん、たべつつ、どこの製麺所なのか、そして・・・注文する前はわがままを言ってゆでたてで
出してもらえるかとお願いしたかった。
ああ、でも勇気はない。
だって自分はながらくここで飲んだりはしていたけどお店の人はまったく知らないお客なのだから。
そして僕は残ったつゆにそば湯を入れてもらいたいと思った。
でもそれも勇気がなくてできなかった。
店を見渡してみても麺箱などは見当たらない。
のどごしがよくそばと小麦粉とバランスもよく生そばの販売をやっていたらテイクアウトしたいくらいの味わいだった。
そしてかき揚げなのだけれども・・・これまた昔風のメリケン粉で固めたようなどんくささがあるのだけれども、
ここのそばとの相性がものすごくいいと感じた。
毎日でも食べたいくらいに美味しいかき揚げだった。
蒲田からもたちぐいそば屋は消えていった。
でも信濃路は続いている。
名古屋で食べたどて焼きがわすれられず信濃路のどて焼きで瓶ビールを飲んでいた僕。
そばうどんは食べたことがなかった。
そばうどんはこれで3~4回目と少ない。
でも以前のように外観が老朽化しているからどうでもいいそばを出しているといった先入見は捨て去った。
370円でこれよりもうまい天もり・・あるだろうか??
信濃路への見かたは変わった。