犬鳴村』は酷かった。話が荒唐無稽で怖がってる暇がない。以下は特に気になった点


①:人間と犬の交配で子を宿す事は不可能だが、もし可能だとして、子孫に牙があるのは分かるが、犬と交配しただけの女のほうに牙が生えたのは意味が分からない。

②:普通に考えて、妻の不思議な力をずっと奇妙に思い続け、近寄られる事も嫌って生きていた男が、その妻とセックスして2児を設けた設定が酷い。“夫からも怖がられる不気味な妻”を演出したかったんだろうが、整合性が取れていない。

③:霊力で、過去に起こった事を見せてもらってたはずが、過去の霊に頼まれて、託された子供の命を救ってるのが意味不明。過去のビジョンを見る事と、過去に行く事がゴッチャになっている。見る事しか出来ない出来事は変えられない。「その子だけでも」とか言われ主人公がその子を連れて行かなかったらその子は助からない設定。逃げたら助かるなら子供逃すだけじゃなくお前らも逃げろよ。結局、助けたその子が犬鳴村最後の生き残りで、その血が受け継がれ、そのまま血筋を残し、今に繋がる。なんでよ。

④:死んだ兄の死体確認に訪れると警察が死体の下半身を見せないようにしようとするが、膨らみが気になってシートを剥ぐと、別の死体がくっついていた。どうしても外れなくて仕方なくシートを覆って応急処置って事なんでしょうが、どんなにしがみついてたとしても、引き剥がせない程のレベルって事ないでしょ。怖さを演出したい気持ちは分かるけど。

各シーンで、監督が恐怖演出のアイデアを思い付く度に、前後の繋がりが無茶苦茶になっていく。違う意味で恐い映画。

この監督はよく自分で脚本も書くのだが、過去作である『呪怨』でもおかしな点が多くあった。

俯瞰で脚本を見返したり、他の人と話し合いながら話を作らず、独りよがりな発想だけで出来上がってる作品なのだろうか?

前述の「死体が貼り付いて離れない」も、そりゃ実話だったら恐いけど、現実には有り得ないワケで。高々死体ごときの腐敗の始まった指がいくら固かろうと外れますよ。観客を怖がらせようとするあまり、劇中の登場人物を置いてきぼりにしてしまっている。