イカゲーム

(2021年)

Netflixシリーズ




『イカゲーム』を見て最初に思ったのは「ありきたりな話だな」ということ。

日本には『カイジ(漫画)』を筆頭に“死のギャンブル”や“デスゲーム”を題材とした小説・漫画・映画・ドラマが無数にあり、周囲に溢れ返っている。よって私がそれ系の作品に触れる機会は多く、『イカゲーム』のような作品は物珍しくもない。


金持ちの道楽の為に落伍者・債務者を集めて競わせる設定も、もろ『カイジ』。“飛び石ゲーム”も、『カイジ』の“鉄骨渡り”のよう。渡る順番がゲームの勝敗に影響する所、特に遅い者は後ろから背中を押される等も含めて“鉄骨渡り”に酷似している。“だるまさんがころんだ”も『神様の言うとおり』っぽかったし、“プレイヤー側だと思っていた余命わずかの爺さんが実はゲームの黒幕”は『SAW』のジョン・クレイマーっぽい。何故かやたらと既存作品が脳内でダブるなと思ったが、それもそのハズで、ファン・ドンヒョクは『カイジ』や『LIAR GAME』等、既存作品から物語の着想を得ていると語っているようだ。そこから着想を得ているのだから、既視感、感じて当然だったワケである。


死に逝く者が生き残る者に家族の事を託したり、勝者が勝ち取った賞金を死んだ仲間の家族に届けに行ったり。もう過去に何度も見た光景。どうしても先の展開もなんとなく想像ついてしまう。


一方で、脚本のアラもかなり気になった。ゲーム中の暴力は許されないのに、ゲーム後、就寝中に夜襲を掛けて殺すのは有りだったり、ビー玉勝負の時、勝敗通りにビー玉の受け渡しをしない不正にもなぜかジャッジが全く反応しない等、意味不明な部分も多かった。ゲームをする・しないは関係なく、ただビー玉20個手にした者が勝者なら「時間がないから勝負しましょう」とかじゃなく、奪ったらいいだけだから時間内の勝負に固執する理由もなかったハズ。実際騙し取って勝った者も居たし。じゃあ穴に入れた方が勝ちって決めた勝負に負けた場合も、運営側的にはインチキを容認しているのだから約束破って相手に渡さなくても勝ちだったのでは?命掛かってる時にゴネもせずバカ正直にルール守って素直に殺されてる場合じゃないだろう。


敗者の処刑法も酷かった。敗者が確定すると処刑人はその場で直ちに敗者の脳をブチ抜いて射殺するので、ゲーム会場は毎回、飛び散った血や肉片でグチャグチャである。そのクセ、遺体はひとつひとつ丁寧に柩に入れてから運び出し直ぐに火葬するし、会場も速やかに清掃して元の綺麗な状態にしてしまう。どうして一旦散らかしてから片付ける必要があるのか。全くもって意味不明である。


結末も、作品がヒットした場合を見越して続編を匂わせる終わり方。これも「またかよ」と言いたくなる程、最近、特に目にするようになってきたラストシーンのパターン。


まぁ、続くのはいいんですけど、またゲームに参加しそうじゃありませんでした?


「お前らの正体と残酷な理由が知りたい」「お前らの事が許せない」→だからもう一度ゲームに参加するってな事をやろうとしてるように見えたんですけど。意味分からん。その方程式、頭の中でどう成り立ってんの?参加してどうする!有志を募ったり、警察に通報して、ギャンブルの開催を妨害するとか、全員捕まえて組織を壊滅させるとか考えるのが正解なんじゃないの?


アメリカで1位を獲得するなど世界中でヒットしたと言われていたが、不正行為による視聴回数の水増しであった事が発覚している。Netflixが不正対策をすると、瞬く間にランキングから消えてしまった。2024年10月には続編が配信されるらしいが、他の作品からアイデアを借りないと作れないようなら作らなくていいと思いますよ。


日本制作の『今際の国のアリス』は不正などしなくとも堂々とランク上位に食い込んでいる。