『きまぐれオレンジ★ロード』は当時、週刊少年ジャンプに全156話(コミックス全18巻)が連載された。

主人公は連載開始時、中学3年生(後に進級していく)。妹たちは中学1年生であった。

いずれにせよ主人公、クラスメート、妹、後輩など、この中学生(高校生)たちは異常なほど飲酒する。

その数、33回。(独自調査)

割合的には4〜5話に1回飲酒してる計算。

中学生なので未成年飲酒。しかも連載誌は少年誌。そしてメジャー誌少年誌には読者の年齢層に合わせた少年向けの健全さが求められるもの。メジャー雑誌は発行部数が多く、世に与える影響が大きい事から品格が求められ社会的責任も伴ってくる様になる。本来なら。

にも関わらず登場する中学生らは旅行・バカンスとなれば飲み、ライブやディスコに出掛ければ飲み、誕生日、正月、ひな祭り、花見、クリスマスとイベント毎に飲み、むしゃくしゃしただけでもヤケ酒をあおったり、単にバスを待つ間の時間潰しでも飲み、何も無くても飲みたくなったら「今晩、飲もう」と誘い合わせて集まったりする。風邪の看病に訪れた時ですら病人放ったらかしで卵酒に酔っ払う始末である。

登場する酒も缶ビールからウィスキー、日本酒を筆頭に様々な種類を網羅しコニャックを飲む回すらある。

ある回では、日中、自宅で飲み、その夜に出掛けた先で飲むという1日2度飲酒する回もある。

昼間から夜にかけて飲み続ける回もある。

朝、起きたてからもう飲み、昼間、訪問した家でも飲んだりする。←これも2度飲酒
訪問してる家だって中学生の家である。娘が家で酒宴の準備をし友達を招いて好き勝手やってるのに、親は放任主義なんか?

頭を打って時間が戻り同じ1日をやり直しする回ではやり直す前で飲み、やり直し後の世界でも別アプローチで飲む

主人公といとこの体が入れ替わってしまう回の一つでは、中身が入れ替わってることにより、普段と様子が違う言動をする主人公と接するヒロインが、「普段あんな反応しないわよね。お酒でも飲んでるのかな?」と疑問を抱く。酒がキーアイテム過ぎて、飲んでない回でもおかしな言動は酒のせいと自然に思考する登場人物たち。

ある回は、冒頭で主人公とヒロインが性行為に及ぼうとする夢から始まり、目が覚めると病院のベッドの上。入院の原因は正月早々ハメを外して酒を掻っ喰らい、酔って外で暴れて怪我をしたという酷い回。勘違いで、ヒロインに嫌味をいい、嫌われたと思って本命でもない女に乗り換えようとするなど、本当にクズでただただ酷い回なのだが、扉絵からしてバーでおしゃれにカクテルを口にしている。コミックスを発売する際、表紙を新たに描き下ろす場合もあるが、カラー原稿であれば連載時の扉絵をそのままコミックスの表紙に転用したりすることもあった。白黒の扉絵でも、着色して表紙用に手直しし使用する事もあったのだが、この回の扉絵はデザイン性の高いお洒落なものだったので、13巻の表紙に採用されることになる。
全国の書店に陳列される大手少年誌のヒット作品の表紙が未成年が、まるでそれが当たり前かの様に堂々と飲酒している絵でいいのか。
沢山の大人が作品作りに携わって、誰ひとり何も言わなかったのだ。「いや、これジュースなんですよ」とかは言ってきそう。作中であれだけ飲んどいて今更そこだけ擁護出来ても何も変わりませんからね。
昔、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の表紙が過激(性的に)で、子供の教育上問題ではないかとなり、後に表紙絵が差し替えになった事がある。酒はいいのかよ!

大体この漫画、喫煙もヒロインが第一話目からしており、5話目や最終話のひとつ前の話でも、タバコを咥え吸おうとする。2話目でも中1女子のひかるが「今日はここにするか」と吸う場所を決めるなど恒常的に喫煙している事が分かる描写がある。96話では広瀬さゆりが他の客の目もあるファミレスで制服のままタバコを吹かしていた。客も誰も気に留めず、本人も「ここで吸うとヤバい」みたいな気配が全く無く、吸う事が許された人間が法に則って正しいマナーで喫煙しているかの様な態度である。世紀末が舞台なんか?

物語のエンディングも作者の手により連載時、コミック発売時、愛蔵版発売時など、何度か描き直しが行われているが、今回はコンピュータでカラーリングを施したデジタルカラーバージョンを読んだので、私が読んだのは完成(作者としては)された最終版であるが、複数回、手が入った事により、キャラクターたちは全員情緒不安定に見えてカオスな仕上がり。後輩のひかるが全てを吹っ切り「私が一歩引きます」「あなたは意気地無し」「逃げ出さないで」と言ってるのに、ヒロインは答えも出さずアメリカに行く。ひかるはヒロインが自分のお願いを無視した行動を取っているのに満足そうに見送る。ヒロインが前に言ってたのは「素直に気持ちが言える決心がついたら帰ってくる」のだそう。そういう行動になる理由は自分がきまぐれだからだと言う。『きまぐれオレンジ★ロード』というタイトルと掛かったセリフが思い付いて作者的には「上手いセリフ考え付いた!」とご満悦だったのかもしれないが、きまぐれ決心がつくのに時間がかかる事全然別の事ですよ。
ラスト、これまでの過去を振り返るような表現があるが、『翼の折れたエンジェル』の歌詞をパクった参考にしたような文で構成されており、なんとも気持ち悪かった。シャツを前後逆に着た様な気持ち悪さ。

他にも、ヒロインがアメリカに行くとなった時の主人公の妹の「私の感が正しければ嫌な予感がする」という意味不明なセリフ。「嫌な予感がする」は漠然とした不安を感じた時に言うやつで、「私の感が正しければ」はすでに確信めいたものがある時に言うやつでしょ。

主人公は二股デートを「またか」ってくらい何度もやるクソ。一緒に行動してる人の前からこっそり消えて「エスケープ!」とか、明るく人を裏切る事も多数。胸糞悪い漫画。

「もし超能力がバレたらまた引越し・転校」と言いつつ私利私欲のために超能力使いまくり。大体「バレたらまた引っ越さなきゃいけない」って、バレても引っ越しさえすればなんでセーフだと思ってんの?

作品全体が毎回いちいちバカっぽい。
全体的に稚拙な内容で、小学生が考えそうなベタな話やご都合主義な展開、辻褄の合わない話などが大半を占める。

当時の日本の社会通念は、コンプライアンスのうるさい今とは全く違ったのだろうが、そのせいだけでは片付けられない酷さがある無秩序な作品。

それにしてもオレンジロードとかセサミストリートとか、作者は道が好きだなぁ。