相も変わらず、謎時間軸の拙宅本編とは無関係な設定
今回のお相手は、千音子!
恋人設定なので、ご了承の上、お読みください
苦手な方は、回れ右で宜しくお願いしますm(__)m
最後に、未完成ではありますがイラストの一部を載せております
~~~♪~~~♪~~~
最近は太陽が隠れることが多く、バッテリー充電が足りなくなり、スマホの使用を控えていた。
だが、今日は暑いぐらいの日差しをたっぷり浴びて、バッテリーもスマホも蓄積十分である。
「久し振りに音楽を聴きながら作業をするかな」
耳にイヤホンを差し込み、スマホをスクロール。
選曲していると、まだ曲は流れていないのに耳に届く音。
澄んだ空に似合う、綺麗な笛の音。
スマホの中に入っている曲も、現代に思いを馳せ懐かしさを覚えるが、彼の出す音色も何処かノスタルジックな気分にさせる。
季節がそうさせているのかもしれないが。
窓を全開にすると、昼間とは違う冷たい風が流れ込み、思わず身を縮こませた。
無いのは分かっているが、こたつかストーブが欲しい季節がやってくる。
高麗時代は、どのように暖を取っていたのだろうか。
「さむっ」
「…… なら、早く閉めろ」
部屋の中から声がするので振り向くと、いつの間にか銀髪の男が椅子に座っていた。
「え、いつ部屋に入ったの?」
「阿呆面で呆けている時だな」
阿呆で悪かったな。
バタンッと音が鳴るほど強く窓を閉める。
「招き入れたつもりはありませんが?」
千音子は無言で席を立ち、戸へ向かって歩き出す。
部屋から出ていくつもりだ。
「そこから出たら、兵士に取り囲まれるよ」
「斬り捨てればいいだけのこと」
「物騒なことをサラッと言うな」
すると本当に彼は笛を持ち替え、仕込み刀を少し抜き構えた。
戸の外を警戒しているようだ。
「天仙様? 大きな物音がしたようですが、如何されましたか?」
別例祈恩都監 (ピョルレギウンドガム)の外で護衛にあたっている兵士が、二階まで上がり声を掛けてくる。
「あ、ああ。ネズミが出て驚いただけだから」
「捕えましょうか?」
「大丈夫、もういなくなったから」
いま戸を開けられたらと思うと冷や汗が背中を伝う。
どちらかというと、兵士を心配してのことだ。
千音子は本当に兵士を殺しかねないから。
納得した兵士は再び己の持ち場へと戻っていった。
「はぁ、」
大きな溜息を付いて椅子に座る。
「俺はネズミか」
「大きなネズミね」
この皇宮の中、ちょろちょろと隙間を縫って侵入し、私の所まで辿り着くネズミ。
ネズミは時々、こうして「会いたい」と笛で合図を送ってくる。
本人は絶対に認めないだろうけど。
私も ──
「会いたかった。………… って、言えばいい?」
「付け足すのは、照れ隠しか」
「うるさい」
「顔が赤いぞ」
私の頬を摘まんで「意外と伸びるな」と引っ張る。
拳を突き出しても宙を切るだけで、絶対に当たらない。
悔しいので無視をしようとスマホのイヤホンを装着し、曲を聴くことにした。
「…… おい」
手を伸ばしてくるので、それを交わして部屋の隅に逃げる。
追いかけてくるので、また逃げるを繰り返すと楽しくなってきた。
彼なら私なんかすぐに捕まえられるはず。
それを、面倒なのか揶揄っているのか分からないが、本気で捕まえる気はないらしい。
「おい」
「ん~?」
寝台に腰を落としたところで返事を返せば、隙を突かれてスマホを取られた。
「あ、ちょっと」
何だこれは。
というように、眺めたり裏返したりするので、初めて見る玩具を転がしている犬のようで可愛いな、という視線を送る。
「何だその目は」
「返して」
暖かい視線を嫌がり文句を言うので、手を出すとそこにスマホを乗せた千音子は、私の隣に腰を落とした。
「耳に、これを、こうして入れて、」
自分の耳に片方のイヤホンを差し、彼の耳にもう片方のイヤホンを入れてあげる。
「っ!?」
「ぷっ」
驚いた顔が面白くて、思わず笑いを漏らしてしまった。
睨んでも無駄無駄。
「クラッシックは入ってたかな」
ダウンロードして入っている曲なら再生できる。
選曲すると、耳から優しいメロディが流れた。
「…… なんだ、これは、」
「理解できないと思うけど、この小さな薄い板にたくさんの曲が入っているの」
「曲が?」
「…… こういうのとかね。こんな曲も」
スライドして曲を選べば、違う曲が流れる。
驚いてイヤホンを外す千音子。
しかし、それを外すと曲は耳に届かない。
恐る恐る、再びイヤホンを耳に当てて、耳穴に嵌めると聞こえてくる音。
「…… 不思議な音だ」
寝台に二人肩を並べて、一つのイヤホンを二人で共有し、同じ曲を聴く。
面白い反応を見れて、私は楽しかった。
そっと頭を傾け、彼に寄りかかってみる。
彼は気にすることなく、イヤホンから流れてくる音に集中しているようだった。
元々、歌や楽器に興味があったのかもしれない。
だけど音功に目覚め、使い手として敵側として立ちはだかることになってしまったのだけど。
今だけは、そんな事など考えずに自由に音を楽しんでくれたらいいなと、イヤホンを外しそっと離れようとした。
「ソラ」
腕を引っ張られ、元の位置に戻ることになる。
「なに?」
外したイヤホンを再び耳穴に嵌められ、肩を抱かれ、耳元に口を寄せて来た。
「お前と、同じ音を聞きたい」
隣に居ろ。
ということらしい。
「…… うん、いい曲でしょ」
「ああ」
ずっと隣にいて欲しくて、私はリピートボタンを押したのだった。
おわり
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閲覧ありがとうございました(`・ω・´)ゞ
高麗時代と異物な現代の物というテーマです
この小説を書くより先に、イラストの構図が頭にありました
嬉しいことに千音子くん番外編のリクをいただきましたので、そのイラストを文章に起こしてみました♪
Y様リクエストありがとうございます!
イラストも頑張ってみましたが、まだ塗りが完成しておりません
全体図はソラさんが描かれているので、完成品は申し訳ありませんがアメンバー限定となります
オリジナルキャラヒロインのイラストに抵抗感がない方や、それと絡む本編登場人物のイラストが苦手ではない方のみ、申請を受け付けております
下記のリンクをよくお読みいただき、二つの条件一致で承認いたしますので、宜しくお願いします
イラストは一部のみ、まだ未完成ですが…
では、いつもの私絵になりますが、宜しいでしょうか?
↓
何にも塗ってないのも寂しかったので、ふわっと色を乗せました
イヤホンが目立つ(笑)
ごめんなさいヨンさん! 次は君とソラさんを描くから~;;
では、ここまでありがとうございました
ラクス