今、日本では「監査法人」というドラマを
やっているそうですね。
弁護士や医者が主人公のドラマや映画は
たくさんありますが
会計士にスポットライトを当てたものは
なかなか思い当たらない。
これも時代というものでしょうか。
4月よりJ-SOX法が施行されて
上場企業は財務諸表の監査に加え
監査人による内部統制の評価の監査も
義務づけられることになりました。
周知のように、こういった日本での厳格化は
ライブドアやカネボウなどの一連の粉飾決済が
直接の切っ掛けとなっています。
しかし、その前に
世界を震撼させた大事件が
すでに起こっていたのです。
遡ること2001年、アメリカ。
エンロンというエネルギー系大企業が
巨額の不正会計処理をめぐって
倒産に追いやられた。
さらに翌2002年には
ワールドコムが史上最悪の経営破綻した際
同じく重大な粉飾決済を行っていたことが
明るみになった。
こうした流れが世界の会計業界の
変革の端になったと言えます。
なお、エンロンの監査をしていた超大手会計事務所
アーサー・アンダーセンは
事件後、解体しています。
日本でも中央青山監査法人が
同じく崩壊しています。
粉飾決済と監査の微妙な関係は
以前の記事にて。
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監査とは、以前も触れましたが
会社が発表する財務諸表について
「正しいです」
もしくは
「正しいとは言えません」
と意見することです。
その判断のために
会社の経理処理をひっくり返して
証明業務を行っていく。
不明瞭な点や、裏付けが出来ない場合
納得がいくまで担当者や経営者に質問をする。
J-SOX法ではさらに踏み込んでいます。
経営者が会社の内部統制の厳密に評価を行って
その評価についても監査人が
適正かどうかを意見することになります。
ちなみに、この「経営者が自ら評価する」
というところがポイントです。
実はこの内部統制。
全く新しいもの
というわけではないようです。
そもそも監査人にとって
クライアントの Internal Control System(内部統制) の信頼性は
監査業務全般に影響を及ぼします。
たとえば、ある会社の内部統制が整っておらず
不正リスクが高いと判断された場合
証明業務をより詳細に行わないといけません。
ゆえに、監査人はまず
クライアントの内部統制の検査と評価を行い
その結果に基づいて
各セクションの証明業務のレベルを決めます。
ただし
ISA(International Standard on Auditing 国際監査基準) によると
監査人はあくまで証明業務のために
内部統制を評価しなくてはならず
その内部統制の実行/保守に関しての責任はない。
とあります。
そして
重大な欠陥が見つかった場合
管理者 (Those charged with governance)* に報告しなければならない。
*ここでいう管理者とは、監査委員会や経営者のことをさします
とも。
ここからわかるのが
SOX法が無くとも
もともと監査人はクライアントの内部統制に対して
一定の評価が要求されいた。
ただしそれは、外部に公表するためのものではなく
あくまで会計監査の一環として
ということです。
なのでSOX法は
突然どこかから降って湧いてきたものではない
と考えられます。
僕が自分なりに
J-SOX法を一言でまとめて
もともと会社が(コツコツと/なんとなく)作り上げてきた
独自の内部統制を文書化、可視化して
経営側が自ら内部統制を評価、報告する責任を負い
その評価は監査を受けなければならなくなった。
と理解しています。
当然その評価を上げるために
努力もしなければならない。
これを負担と捉えるか
最適化のチャンスと捉えるか
意見の分かれるところでしょう。
ちょっと長くなりましたが
あくまで僕なりのJ-SOX法のまとめでした。