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日本シーレーン問題研究会

近い将来「日本の生命線(含むシーレーン)」となる南太平洋、特にパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)周辺の情報を先取りして分析し公開しています。

引き続き、米ドラマ『ホームランド』の興味深いシーンを紹介しよう。

このドラマの中では、一人の若くて「まあまあ綺麗」なアメリカ人白人女性が、サウジアラビアの男性と恋に落ち、その後にテロリストに転向する話がある。彼女の彼氏(肌の浅黒いアラブ系)は、大学の講師を務めているが、この白人女性を愛したあまり、テロの手伝いをするわけである。

この女性は、かつては石油施設かなにかで働いていた父の仕事の影響で、十代のはじめの一時期、サウジアラビアの「外国人専用高級マンション」に住んでいた。多感な彼女は、贅沢な生活をしている自分たちアメリカ人の在り方に大きな疑問を抱いていたが、ある時、その外国人居住区の前に立っていた年下の非常に貧しい男の子を出会うのだ。二人はやがて成長し、心を通い合わせ、彼女はそんな貧富の格差を生み出しているアメリカに怒りを抱いたのか(この辺りが大きな飛躍だと思うが)、気がつけばテロリストになっていたというのだ。この時、彼女の年齢は28歳という設定になっている。

話は変わるが、先日、アフリカはケニアの首都ナイロビで、大規模なテロ事件が起こった。この事件では、テロリスト・グループは、ソマリアの過激派「アル・シャバーブ」が犯行声明を出しており、60名以上の民間人と6人の兵士が死亡し、多くが行方不明になったが、朝日新聞などの報道によれは、実行犯メンバーは多くて15名程度だそうだが、もっと少ない可能性もある。彼らは一ヶ月以上も前から、事件の舞台となったショッピング・モールの一店舗を借り切り、そこを武器庫にしていたというが、そのせいか、何百人もの治安部隊を相手に4日間も戦闘している。

この事件の中で、一躍有名になったのが「白い未亡人」の存在だ。彼女は、サマンサ・ルースウェイトというイギリス人の白人女性である。彼女の年齢は29歳。彼女は2002年、チャットを通じてソマリア系黒人男性と知り合い、そのまま結婚したが、この男は後にロンドン同時テロ事件の実行犯の一人として死亡している。

このロンドンのテロの直後、彼女はマスコミのインタビューに対し、「夫はそんな事をする人には見えなかった」と語ったが、その後、彼女はいきなり「過激派」に変身したようだ。事実、朝日新聞の報道によると、事件直後には、ケニアの外務大臣が米メディアに対し、

「英国人の女1人、米国人が2~3人含まれる。女は過去に何度も(テロを)やっている」

と語っているし、事件当時、モールにいたラジオ局勤務の女性もまた、

「グループに女の声の者がいた。ほかのメンバーに命令するように叫ぶと銃撃が起き、また叫ぶと止まった。『ケニア人たちに教訓を与えている』と言っていた」

と答えているのである。他にも多数の目撃証言がある。しかしその後、この「白い未亡人」は現場から忽然と姿を消しているのである。そして今や、今ではケニアの警察当局さえ、今回の事件には「白い未亡人は含まれていなかった」とし、各国の主要メデイアもまた、「白い未亡人はいなかった」という説で納得しているようだ。

しかし、それにしてもこの「白い未亡人」、年齢も表情も、米ドラマ『ホームランド』に出て来る白人女性のテロリストそっくりなのだ。しかし何度も言うように、米ドラマ『ホームランド』の制作が始まったのは2011年であり、シーズン2でさえ2012年だ。ケニアのショッピング・モールの事件は、私が『ホームランド』のシーズン2を見終わった後に発生している。何とまあ不思議な、偶然の一致だろうか。怖いくらいの的中率である。

やっぱり、アメリカの映画やドラマは、これから起きる出来事を「予言」するのだ。すると、危機管理の観点からすれば、今後、国際政治の先の先を読み、また一方でテロ事件に巻き込まれないようにするためには、アメリカ映画やドラマさえ観ていれば大丈夫なのかもしれない。責任は持てないけれど・・・。

(続く)

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先日、米ドラマ『ホームランド』を観た。かつて美人で清楚な女優であったクレア・デインズが、「鬼気迫る」演技で、気分障害のあるCIAの作戦担当官を演じている人気ドラマだ。

この女性作戦担当官は、アル・カイーダの捕虜から「アメリカ兵の捕虜がテロリストに転向した」との情報を得て、その直後、8年間もアル・カイーダの捕虜となり、アメリカ軍特殊部隊によって救出されたニコラス・ブロディというアメリカ海兵隊の軍曹を「テロリストでは?」と疑い、追い続ける物語である。

この物語には、現在、世界で起こっている様々な事件を連想させる「奇妙な一致」を暗示させるシーンがいくつも出て来て、非常に興味深い。例えば、テロリストの親玉で、アル・カイーダの幹部であるものの、明らかにイランから支援されているヒズボラの司令官を連想させる「悪玉」の水葬シーンだ。

自らの愛すべき息子をアメリカ軍のドローン攻撃で殺されたとはいえ、あれだけのテロを起こし、あれだけアメリカに楯突いているのに、最後には「丁重なムスリムの葬儀」を行ってもらい、アメリカ海軍の艦艇から、儀礼をもって海中に投下されるというものである。これを観た普通の日本人は、「へえ、アメリカってやっぱり心が広いなあ。あれだけの敵を、こうしてちゃんとムスリムの儀式に則って、水葬までしてあげるんだから」と思ってしまうだろう。

このシーンを見た時にふと思い出したのが、あのオサマ・ビン・ラディンの「死」である。まさにオサマもまた、このようにアメリカ海軍の空母の上でイスラム教式の葬儀が行われ、そのまま丁重に「水葬」にされたのだ。しかし、当時、このオサマの「水葬」に関しては、多くのイスラム法学者から非難の声が出た。

例えば、エジプト在住のイスラム教スンニ派の最高指導者の一人は、この水葬を「イスラムの教えに反する」と強く非難しているし、同様の声はイスラム世界の多くから発せられた。イスラムでは、死者の遺体は特別な方法で洗い清められ、白布で包み込んだ後、顔をメッカの方に向けて土葬するのが正しいやり方なのだ。

当時、アメリカ政府は「適当な場所が見つからなかった」という苦しい言い訳をしていたし、御用学者たちは「テロリストが遺体を回収しに来る」だとか、「埋葬場所が聖地になる」などと言っていたが、どれもこれも取って付けたような理由であった。

『ホームランド』の制作は2011年9月に始まっているが、オサマの死はその4ヶ月前の5月2日とされている。製作者は、何らかの意図を持ってこの水葬シーンを入れたのではと思ってしまうのは、私一人ではあるまい。つまり、これはある種の「正当化」であり、「嘘も100回言えば云々」の類いだという事である。

オサマの遺体の写真は、別人とオサマの顔を合成したニセ写真以外は公開されていないし、水葬のシーンを記録した映像もない。しかし、『ホームランド』であの「水葬シーン」を観た視聴者の多くは、即座にオサマの「水葬」を連想するであろう。そして、オサマが引き起こしたとされる終わりなきテロとの戦いを正当化し、一方で、激しく生じた宗教対立に対する不安を取り除くことが出来るのである。

つまり、「我々合衆国は、イスラムを敵にしているわけではない。テロリストと戦っているのだ」と。

(続く)

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ボルキア国王と中国の共同出資??
現在、中国が資金援助をしているであろうフィリピン内外の反政府勢力の多くが、「イスラミック・マラユ連邦の建国」を目指すボルキア国王の「出資先」と重なっている事を知って、それでもなお、これが単なる偶然の一致だと考える人はあまりいないだろう。その「出資先」の一つは、例えば1969年に毛沢東主義の一派によって組織された比・新人民軍である。

新人民軍は、69年から76年にかけて中国共産党から物理的支援を受けていたが、その後は一切のサポートを失ったとされていた。新人民軍は近年、中国とフィリピンの間にある領土問題に関し、北京とを非難するような声明をも出しているし、2011年には中国共産党自身が、「もはや比新人民軍を支援していない」と発表しているが、その実態はよく判らない。

実際、新人民軍は、弱体化したイスラム主義ゲリラ組織「アブ・サヤフ」を見限り、より活発で過激なモロ民族解放戦線(MNLF)と活動しているが、MNLFのリーダーは、ブルネイのボルキア国王から資金援助を受けているといわれている。そのボルキア国王が、最近は中国と極めて親しいのであるから、関係が完全に切れたとは言い難い状況なのだ。

頻発するイスラム過激派の攻勢
2013年2月、約400名のフィリピン系イスラム武装勢力が突如、マレーシアのサバ州沿岸部に上陸した。この組織は「スールー王国軍」と名乗り、かつてスールー諸島(ミンダナオ島とサバ州の間に広がる群島)を治めていたスールー王国のスルターンの末裔である「ジャマルル・キラム三世」に率いられていた。彼らは、海岸付近の村を占拠して村人らを人質に取り、「旧王国の承認とサバ州の返還」を主張した。

この武装組織は、約3週間の間、時に散発的な戦闘を行いながらマレーシア国家警察、軍などと対峙したが、3月に入ってついにマレーシア政府は、空軍のF18戦闘機による空爆を行い、総攻撃を行った。その結果、ゲリラ部隊は一気に崩壊し、キラム三世は4月から5月までには、元々の居住地であるマニラに戻っている。

そんな血なまぐさい事件がようやく収まったと思っていたら、今度はフィリピンのミンダナオ島で大事件が起こった。9月9日、ミンダナオ島周辺で活動していたイスラム過激派「モロ民族解放戦線(MNLF)」が、サンボアンガ市に突如上陸し、町の一部を占拠したのである。

これに対し、フィリピンのアキノ大統領は、自ら現地に入って自ら国軍部隊を指揮して徹底的な鎮圧を試みたが、この戦いは、意外と長期間に及んだ。なぜなら、ゲリラ部隊はどうやら、事前にサンボアンガ市内に「武器庫」を構築しており、市民の中のシンパから一定量の武器弾薬や食糧の「補給」を受けていたらしいのである。

結局、戦闘は約一ヶ月続いた後に、ほとんどのゲリラ兵士が殺害されるか、逮捕され、または逃亡してこの戦いは幕を下ろしたが、フィリピン政府にしてみれば、これだけの戦闘力を持った組織が動き出した事は、大いなる衝撃であったに違いない。その他、9月23日には、「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)という別のイスラム・テロ組織が、北コタバルの村を100名以上の武装集団が襲撃するという事件も起きている。

ボルキア国王の「夢」を潰しにかかる石油メジャー
これら一連の事件は、これまで欧米系の石油メジャーにやりたい放題され、完全なる支配を受けて来たボルキア国王が、ついに自らの夢を実現しようとした結果である可能性は強い。こんなボルキア国王の「夢」には、当然背後で中国の力が働いているであろうが、しかしこの動きは地域に混乱をもたらしかねず、英米がそれを危険視するのは当然である。

すると、前述の様々なボルキア国王に対する様々なスキャンダル報道は、石油メジャーの支配から脱却し、民主主義を核としたイスラミック・マラユ連邦を夢見るボルキアを牽制したい英米側から「意図的に」リークされるものと見て間違いないであろうし、事件化したその多くは、メジャーによるマッチポンプでさえあるだろう。

つまりこれは、欧米の権益や影響力を引き続き維持するため、高福祉国家ブルネイにおけるボルキア国王の「絶対君主」としての権威だけは維持しつつも、これ以上周辺イスラム住民の期待を増大させないために仕組まれた高度な情報操作とでも言うべきだ。これに散々苦しめられて来たボルキア国王は、しかしすでにその事に気付き始めている。

もし、イスラミック・マラユ連邦構想によってこの地域が不安定化すれば、「スルターンの先祖は中国人だった」と主張する中国は一気に進出して来るだろう。さすれば、ロンボク海峡からスールー諸島、ミンダナオ島南部を通過して日本に石油を運ぶ商船隊の安全航行さえ怪しくなるのは時間の問題だ。

このブルネイ国王の「夢」が、我が国の経済的安全保障に大変な支障を来す可能性があるという事を日本政府はもっと強く認識し、この地域の安定を維持するための具体的な政策を直ちに検討し、実行すべきである。

(続く)

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