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日本シーレーン問題研究会

近い将来「日本の生命線(含むシーレーン)」となる南太平洋、特にパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)周辺の情報を先取りして分析し公開しています。

中国海軍が、ついに太平洋上において大規模な実弾演習を開始した。北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の全3個艦隊が集結し、11月初旬までに艦隊機動や航空隊を使用した実戦的な戦闘訓練を行い、対空ミサイル等の実射訓練をも行うという。

中国海軍が、この規模でこの種の実戦的な軍事演習を太平洋上で行った例は過去にはない。なぜなら、かつての中国海軍であれば、遠洋航海能力がそもそもなく、あの広い洋上において、艦隊同士が指定された場所でうまくランデブーするという事はおろか、友軍艦艇に定期的に武器弾薬燃料を補給する能力さえなかったからだ。

しかし、もはや時代が違う。曲がりなりにも中国は航空母艦を持った。もちろん、武器弾薬を搭載しての航空機による発着艦訓練はまだまだだし、空母機動部隊を運用出来るだけの防空能力もない。とはいえ、中国海軍は今、驚異的なスピードでミサイル駆逐艦を建造しており、それらが実戦任務に就く日もそれほど遠い未来の話ではない。

今回の演習は、日本の自衛隊による防衛線の背後で行われる。沖縄のすぐ南だ。場所的には、カツオが日本に向かって上って来る辺りである。つまり今回彼らは、日本の防衛線を突破した「後」のことを想定して訓練していると言っても過言ではないだろう。これらの艦隊の多くは、宮古海峡などを日常的に通過しているが、ここはもはや彼らにとっては、勝手知ったる「通り道」に過ぎない。

今回の演習では、潜水艦部隊も多く配置されるであろう。彼らが自由に航行出来るのは、すなわちこれまで日本の領海スレスレを通過して西南太平洋に入り込み、10年以上もかけて地道に温度分布などの情報収集を積み重ねて来た結果である。そしてその間、日本政府はほとんど何も有効な手段を打ち出す事が出来なかった。もはや太平洋には、中国の潜水艦がウヨウヨしていると考えてもいい状況なのに、相変わらず我々日本国民の多くは、何も知らされぬまま、毎日ビールを飲み、テレビを見ながら笑っているわけだ。

中国軍は、そんな能天気な我々の背後に回ろうとしている。それでもまだ引き続きボンヤリしているのか、それとも何らかの対策を国家の意思として示しうるのかは、国民一人ひとりが考えねばならない問題に違いない。さもなければ、我々は5年、10年後、間違いなく深刻な後悔をさせられる事になるだろう。

(続く)

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10年ほど近く前にはまった番組がある。米ドラマ『24(トエンティーフォー)』だ。主人公は、キーファー・サザーランドが演じるカウンター・テロリズム・ユニット(CTU)ロサンゼルス支局の敏腕捜査官、ジャック・バウアーである。

日本でも大流行したこのドラマは、黒人大統領候補のパーマーに対する暗殺計画を阻止するところから始まる。この作品が作られたのは2001年頃であったが、当時、アメリカではまだ、黒人が本当に大統領になるという事を信じる土壌は少なく(コリン・パウエルに対する期待はあったが)、この設定もドラマならではの理想主義だと思っていたが、それから7年後、バラク・オバマが黒人として初の大統領となった。

オバマ大統領は現在、アメリカの危機的な財政問題に悩まされているようだが、一方でもっとも注目されている動向のひとつが、イランとの和解である。過去30年以上、アメリカはイランを完全に敵視して来た。しかし今、ロウハニ大統領が登場した事で、アメリカとイランの関係は、歴史的な転換点を迎えようとしている。

つい最近まで、シリア問題を巡って、アメリカは再び中東への軍事関与を再開するかも知れない、という憶測が流れていたが、少なくとも今の段階では、そんな雰囲気はほとんど亡くなっている。イスラム教シーア派のイランは、陰に陽にアサド政権を支援して来たし、自らが支援するヒズボラが、アサド軍について、自由シリア軍と激しい戦闘を交えている。一方、自由シリア軍を応援していたのは、スンニ派のサウジアラビアである。もちろん、イスラエルもまた、自由シリア軍に大きな支援を行っているし、あのアルカイダだって彼らの味方だ。

一見して非常に複雑な関係に見えるが、彼らはみな、中東でアメリカが戦争をしてくれる事で利益を受けるグループなのである。つまり、アメリカがアサド政権に味方するイランを仲良くされては困るという共通項を持っているのだ。

一方、米イの和平交渉、核協議は、このまま順調に行くと、本格的な米イラン関係の雪解けとなる。前述の関係国やグループはそれで大変に困ることになるし、戦争があって初めて飯を食える軍事企業もまた、大変に困ることになる。特に、軍事産業はアメリカ産業構造の根本を支えているから、つまりオバマは産業界の多くを敵に回す事になる。そこで懸念されるのが、オバマ大統領の「暗殺」という事態である。これは実は、多くの専門家や関係者が心の中で静かな懸念を持っている事でもあろう。

米ドラマ『24』では、黒人大統領のパーマーは、何者かによって狙撃され、暗殺されてしまう。そしてその次に大統領になった弟もまた、殺されてしまう。そこで満を持して登場するのが、「女性大統領」という事になっている。この女性大統領、ヒラリー元国務長官に似ていると思ったが、ヒラリー氏はすでに病気のために国務省を去っているから、これは結果的に「ハズレ」であった。

イランとの関係正常化に対しては、ホワイトハウスの方でも大きな熱意を持っている事が判る。最近も、映画『ホワイトハウス・ダウン』が封切りとなったが、ここでは、イランとの関係改善を目指す黒人大統領が、アメリカの軍事企業によって命を狙われるというのが筋書きだ。今、オバマ大統領とホワイトハウスは、見えない誰かと戦っているのかも知れない。

いずれにせよ、オバマ大統領が『24』に描かれたような最期を迎えない事を願っている。

(続く)

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