(*上記論文をまだお読みになっていない方は、是非、ある宗教団体が「仲介」するアメリカとイランの秘密交渉について、下記をクリックしてお読みください)
この仮説を証明するかのように、突然に「イスラム国(IS)」が「ハマス(+イスラエル)を絶滅させる」という宣言を出し、シナイ半島北東部ガザ地区国境付近(エジプト領内)に勢力を拡大、「ハマス」に対する攻撃拠点の構築を行っている。
そんな「ハマス」が本日7月9日、突然にある「奇妙なミュージックビデオ」を公開した。
イランのニュースサイト『タブナック』(2015年7月9日付)に突然紹介されたこの「ミュージックビデオ」は、男性パレスチナ人歌手が勇ましい軍歌を歌い、ハマスが勇敢にイスラエルに立ち向かう戦闘シーンで彩られているが、イランを完全に「賛美」し、これまでイランがどれだけ「ハマス」のためにどれだけ支援をしてくれたかという事に感謝する内容となっている。
歌詞の内容は、大体以下のようなものだ。
「勇敢な人々を生む地ガザは、イランの人々に敬意を表します。ここは、殉教者の血のによって戦闘者たちの土地と呼ばれています」
「壮大で栄光あるイランよ、あなたたちは戦争中、私たちといつも一緒だったし、支えてくれました」
「イランはつねに、私たちのお願いを聞き入れて、私たちの壮大な宇宙を支持してくれました」イランに感謝する「ハマス」のミュージックビデオ
あのプライドの高い「ハマス」が、イランを手放しでべた褒めにするような内容のビデオなどを作った事は、過去にはおそらく一度もないはずであり、特にアサド政権への対応を巡ってイランと感情的にこじれている現在、この動きは非常に「かなり奇怪」に見える。
これを見て感じたのは、以下の点だ。
1)やはりイランは、アメリカその他との核交渉合意と経済制裁解除のため、バハーイー教を仲介役として交渉をしており、強硬に反対するネタニヤフ首相のイスラエルを懐柔するためにも、「ハマス」との縁を完全に切ろうとしている。
2)一方、イスラエルなどをバックに持つ「イスラム国」に突然迫られた「ハマス」は、こんな過去数週間のイランの動きをも見て大いに慌てたため、急いでこんなミュージックビデオを作ってイランの新聞に投稿、「自分たちを見捨てないでくれ」との政治的なメッセージを送った。
もし、イランが本当に「ハマス」と縁を切れば、核交渉反対のイスラエル強硬派(ネタニヤフ首相ら)に恩を売り、かつ同国内の穏健派を取り込むことで、核交渉は大きく前進するであろう。一方、イスラエルのみならず、「イスラム国(IS)」にも包囲され、かつて巨額の資金援助などをして来たイランから見捨てられる「ハマス」は、その力を大きく失う事となり、まさに「存立危機事態」となる。
このイランが打とうとしている布石が果たして、どこまで核交渉に影響を与えるのか、そしてそれがパレスチナ問題にどの程度絡むのかが見物である。もしかしたら、このことが中東情勢の今後に大きな変化を起こす可能性もある。
(了)