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日本シーレーン問題研究会

近い将来「日本の生命線(含むシーレーン)」となる南太平洋、特にパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)周辺の情報を先取りして分析し公開しています。

9月23日(月)、ミンダナオ島北コタバルの村を100名以上の武装集団が襲撃する事件が発生した。

フィリピン陸軍第602旅団のスポークスマンによると、襲撃があったのは午前5-7時頃であり、3つの学校を占拠され、教師3名を人質となったという。これに対して出動した軍は、この武装勢力と戦闘に入り、4名の国軍兵士が戦死し、1名が負傷した。

この武装勢力は、「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)と見られている。BIFFとは、長年フィリピン政府と戦い続けた「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」(現在、サンボアンガで戦っているモロ民族解放戦線MNLFから分派した別組織)が、最近になって政府と和解する道を選んだ事に不満を持ち、2011年に分離独立した新興武装勢力だ。

今回の事件では、BIFFも声明を発表し、自分たちがこの事件を引き起こしたとしてその関与を認めると共に、現在拉致している人質に対しては危害を加えないと付け加えた。また、現在、サンボアンガで政府軍と戦闘中であるモロ民族解放戦線(MILF)とは一切関係がない、としており、MILF側でも同様の主張をしている。

一方、フィリピン陸軍第6師団の高級将校によると、フィリピン軍との戦闘によって、BIFF側にも少なくとも4名の死者が出ている模様である。

先日から続いているサンボアンガでの騒擾事件では、MNLFと政府軍との戦闘で、100人以上が死亡するなど、日本のシーレーンと目と鼻の先にあるフィリピン南部ミンダナオの治安は、ここに来て急速に悪化しているようだ。先日も報じた通り、これらのゲリラは武器弾薬の補給が豊富であり、戦闘能力もかなり高い。これらに金や武器を出している組織があると考えるのは自然な事であるが、そのうちの一つはおそらくブルネイのボルキア国王であろうし、またそのボルキアに近付こうとしている中国でもあるだろう。

これら一つ一つの事件の背景を出来るだけ詳しく理解しておかなければ、将来日本は大きな禍根を残す事になるだろう。

(了)

お知らせ:次の記事からは、日本のシーレーンと中国の真珠の首飾りについて連載していきます。


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9月20日、モロ民族解放戦線(MNLF)とフィリピン政府軍が市街戦を繰り広げているサンボアンガ市近くのバス車庫で爆発があり、少なくとも3人が死亡した。フィリピン当局によると、この爆発で2名が死亡し、さらに1人負傷したという。一方、地上戦闘においても、フィリピン陸軍の下級将校1名が戦死した模様。

今朝(9月21日)には、市内に住む女性が迫撃砲弾の破片を受けて死亡している。

一方、フィリピン軍当局が、数名のMNLFメンバーを逮捕したと発表し、今回のサンボアンガ騒擾事件に関与した人間を厳しく訴追するとした事を受け、MNLF側は、「今回逮捕された連中はMNLFではなく、我々は彼らの正体をまったく知らない」として、関与を否定した。

つい先日まで、関与を否定していたMNLFが、突然「戦闘隊形」を取るように部隊に号令をかけ、その後、状況が悪化すると再び、関与していないような態度を取るようになっている。

不思議なのは、過去13日間にわたって戦闘が行われているが、それだけの経線能力を維持するだけの武器弾薬は、一体どこから補給されたのかという事である。この問題について、早速アキノ大統領は軍幹部に対し、この供給先に関する調査を行うように命令を下した。

今回のMNLFの部隊を直接率いているのは、Habier Malikという男であるが、彼の部隊はおそらく、かなり以前からサンボアンガへの攻撃を計画しており、事前に市内の各所に武器弾薬を埋めておいたのではないか、と考えられている。

実際、MNLFに捕らえられ、その後に脱出・保護された14歳の少年によると、MNLFのゲリラ兵たちは、政府軍からの包囲攻撃下にあってもなお、占領地域(タロンタロン村や、タルクサンガイ村等)に住む一般市民の中の支持者らから、武器弾薬や医薬品の補給を受けていたという。

ゲリラの兵力や現在、約40名ほどにまで減少しているが、引き続き、20名以上の住民を人質として立てこもっており、ゲリラ兵らは「死ぬまで戦う覚悟」を持っているという。

(続く)




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ミンダナオ島サンボアンガで10日間以上にわたって戦闘を繰り返して来たモロ民族解放戦線(MNLF)の武装グループは、政府軍による包囲が急激に狭まる中、その兵力を約70名にまで減少させている。これまでに、86名のゲリラが射殺され、92名が投降ないしは逮捕されたという事である。

また昨夜は、政府軍の警戒線を実力で突破しようとしたグループが軍より銃撃を受け、3名が死亡している。他にも、民間人に「なりすまして」、サンボアンガ市から脱出を試みるゲリラも増えているようだ。

一方のMNLF側は、ようやくゲリラ部隊に対する撤退命令を発する一方、「我々を暴力的にしたのは比政府だ。だから、我々はその反対の姿勢を取る事とする」という、つい数日前には宣戦布告したはずの組織とは思えないコメントをしている。

ゲリラ側では、すでに弾薬が底を尽き始めていると見られ、これ以上の抗戦は難しいだろう。実際、サンボアンガ市では、直接被害を受けなかった商店などが営業を再開しつつあり、サンボアンガへの航空便も、今日になって数便が運行を再開している。

市内に最後まで残っている70名の武装ゲリラが、ここ数日でどのような動きに出るのかが見物である。

(続く)


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ミンダナオ島サンボアンガにおいて、政府軍や警察と激しい戦闘を演じているモロ民族解放戦線(MNLF)は、市内の占領地域を3分の1に減らした今もなお、恐らくは約100名の武装兵士が、ほぼ同数の人質を「人間の楯」として現在も引き続き、立てこもっている。現場には、機甲部隊や武装ヘリコプターが展開し、空爆を行いつつ、大統領直属の部隊が周辺を完全に封鎖している。

すでに10万人以上の民間人が町から逃亡しており、つい先ほども、フィリピン海軍の艦艇が、町から脱出して来た民間人200名以上を保護したという情報が流れた。
この10日間の戦いで、犠牲者はすでに60名以上とも100名以上とも言われている。一部の武装兵士が投降し始めたという情報もある。

フィリピンのアキノ大統領は、引き続き現場で督戦中であるが、フィリピンを取り巻く戦略環境はますます悪化している。先日も、南シナ海における領土問題に関し、中国との関係を何とかしたいアキノ大統領が公式の訪中を企図したところ、中国側から断られたという話もあった。かつての政権が米軍を追い出した結果、今になってそのツケを支払わされている格好のアキノ大統領は、日本に大きな期待を寄せている。フィリピンの南北を走る通商路は、「日本の生命線」たる我がシーレーンだ。

そんな死活的なシーレーンを守らねばならない私たちには、今こそやらなければならない事が沢山ある。北は中国から、下はイスラム武装ゲリラ
(恐らく中国の支援を受けている)から攻撃されているフィリピンへの資金的、軍事的、政治的支援は、その出発点だろう。私たち日本人の決断が、今こそ求められている時はないし、必要とされている事もない。地域安全保障への貢献とは、まさにこの種の決断の連続なのである。それが、日本の将来のさらなる繁栄と、地域への平和構築に繋がるのだと思う。

(続く)


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9月9日、フィリピンはミンダナオ島サンボアンガ市に上陸し、地元民約200名を人質に取ったグループは、ミンダナオで反政府活動を継続していたイスラム武装勢力「モロ民族解放戦線(MNLF)」だとされている。

彼らは、政府軍との銃撃戦を演じ、すでに10日も睨み合いが続いているが、この間、当事者とされたMNLFは、この事件への関与を否定し続け、「今回の騒動は、MNLFの仕業ではない。我々を政治的に抹殺し、宗教弾圧しようとする比政府の陰謀だ」と主張していた。  

この主張、実はそれなりに信頼出来そうな根拠を持っていた。なぜなら、彼らは現在サンボアンガで政府軍と交戦中の幹部を名指してリストアップし、ミンダナオのみならず、マニラなどにも多く住むMNLFのメンバーや支持者に対し、「現在、MNLFを名乗ってサンボアンガで暴れている連中は偽者である。真のMNLFは今回の事件には関与していない」とし、「これらのリストにある人物からリクルートを受けた時は、応じてはならない」としていたからだ。

それだけでなく、メンバーや支持者がメディアなどからの取材を受けた場合にも、「一切語る勿れ、指定の機関誌を配布し、MNLFの担当者に連絡して説明を任せよ」と呼びかけてもいた。  

彼らの主張によれば、「MNLFが攻撃を仕掛ける時は常に1000人単位での攻撃を行い、さらに後方に3000名の予備兵力を備えている、その証拠が2013年2月から3月に行われたアブサヤフとの戦闘だ」とし、今回の動乱は『規模が小さ』く、つまりは比政府の謀略なのだというわけである。何も知らない一般人が読むと、「へえ、そうなのか」と納得させられる内容だ。プロパガンダのプロパガンダたる所以である。

 しかし、これまで事件への一切の関与を否定して来たMNLFは、昨日9月18日になってついに、

「生存権を行使するため、政治的虐殺と宗教弾圧に対する戦いを開始する!」

 と断言した。そして、

「サンボアンガ市内や周辺に展開するフィリピン警察や政府軍が今夜12時(9月19日午前零時)までに撤退しない場合、その後にサンボアンガ市内で武器を所持するものは敵と見なす。いざ、MNLFの兵士たちよ、戦闘態勢に入れ!」

と宣言したのである。その直後、MNLFは比海軍のボート一隻をRPGで撃沈したと発表し、以下のメッセージを発した。

 「ただちにサンボアンガ市内の治安を回復する準備に入れ。敵は、MNLFのメンバー以外で銃を携帯するすべての者である。一帯を確保し、敵の鹵獲武器はすべて一カ所に集めよ。作戦が終了したら、次の命令を待て。交戦規則:ゆっくり、静かに、しかし着実に前進せよ。狙撃兵に注意し、出来るだけ家屋や車両への侵入は控えよ。家屋に侵入するのは、敵兵が隠れている場合のみである。非武装の人間を撃ってはならない。他人のものを盗んではならない。捕虜を直ちに処刑してはならない。異教徒に対する差別をしてはならない。攻撃命令あるまで待機せよ」

 ここまで読んで、「なんだ、やっぱりMNLFがやってたんじゃないか」と思ってしまうのは当然だろう。これまで、関与を完全に否定しながら、比政府の謀略に対抗するため、わざわざ重武装の政府軍に包囲されているサンボアンガに音もなく侵入し、そこから戦おうというのだから、「最初からそこにいたのではないか?」と思われても仕方ない。上記のメッセージの直後、MNLFの「攻撃命令」が正式に発出された。

現場では、MNLFの狙撃兵がビルの屋上から射撃して来るので、それが危険だと言ってテレビ局がカメラを回しながら走り回っている。

 MNLFは次のようなメッセージを発した。曰く、
 「ミンダナオよ、目を覚ませ!心を開け!我々は平等主義者であり、宗教差別をする事はない。MNLFにはモスリムの他にキリスト教徒のメンバーもいる。我々には一つのドクトリンしかない。つまり、政治闘争においては平和的手段しか使わないという事だ。我々はジハード(聖戦)を追及しない。ヌル・ミスアリ(MNLFのリーダー)は国連平和賞受賞者だ。頭を使え、ミンダナオの民よ!」  

これまでの戦闘ですでに十数人以上が死亡しているが、アキノ大統領はこの事態を受け、自らが軍の鎮圧を指揮する覚悟でサンボアンガに乗り込んだ。大統領の覚悟は相当なものだが、MNLFも負けてはいないから、戦いは長期化するかもしれない。  

この島の沖合数十キロには、日本へ向かう石油タンカー、ガスタンカーが何十隻も航行している。この地域が不安定化し、大規模な地域紛争に続く事態となれば、日本のシーレーンはここでも大きな弱点を抱える事になる。

この地域の安定が脅かされ、日本国内における石油価格の上昇という事態や、ミンダナオ独立を目指すMNLFの動向に「大きな関心」を有する中国の覇権を拡大させないためにも、日本は今回の戦いを一つの契機として、もっと多く、かつ良質な情報収集を行うべきである。

(続く)


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