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日本シーレーン問題研究会

近い将来「日本の生命線(含むシーレーン)」となる南太平洋、特にパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)周辺の情報を先取りして分析し公開しています。

912日木曜日、チャンネル桜に出演し、変わりいくオーストラリアと日本のシーレーンの状況について話をして参りました。

その中で、日本のシーレーンのど真ん中にあるフィリピンはミンダナオ島において現在継続されている、モロ民族解放戦線(MNLF)と政府軍の睨み合いについて報じましたが、昨日、フィリピン政府軍はMNLFに対する本格的な攻撃を開始、武装ゲリラ100名以上を殺害または捕虜とした、と発表しました(51名殺害、42名を捕虜)。自動小銃やRPGロケット砲で武装したMNLFの部隊は、98日、ミンダナオ島西部の町「サンボアンガ」に突然上陸、住民約200名を人質に取って地元警察や政府軍と散発的な小競り合いを繰り返していましたが、ここに来て、フィリピン政府軍が一気に攻勢をかけた形になります。

 

現時点で、人質が何人救出されたかは不明ですが、地元の市長によると、少なくとも彼らが立てこもる一カ所だけでも40人以上の人質が残されているという事です。約5日間ほどは対峙していたものの、ゲリラ側が家屋に火を放ち、迫撃砲を発射し、また赤十字職員に危害を加え始めた事から、フィリピン政府は攻撃開始を決断したようです。フィリピン当局は、このMNLFの部隊は、同組織の創設者であるヌル・ミスアリが率いたと断定していますが、現時点でその姿は現地では確認されていません。

 

ミンダナオ島からスールー諸島、マレーシアのサバ州、ブルネイにかけての地域では、ブルネイのボルキア国王が、かつてのブルネイ王国の威光を取り戻すため、「イスラミック・マラユ連邦」を設立しようとしています。世界有数の金持ちであるボルキア国王は、周辺のイスラム武装組織に対して資金援助を行い、その夢を実現しようとしていますが、困った事に、そのボルキア国王に対しては、中国が急接近しています。5月には、ボルキア国王と中国の国防省が会談し、両国の緊密な軍事関係の強化を確認し合いました。中国は、ブルネイ王国の第二代国王(スルターン)は、「オン・サンピン」という中国人であったと主張しており、すでに西沙諸島にある一つの岩礁に「オン・サンピン」の名前を付けています。

 

中国は、こんなボルキア国王を「フロント」に立てて西沙諸島、南沙諸島の支配権を手に入れようとしています。のみならず、中国はMNLFなどに対しても資金援助をしている疑いがあり、中国工作員の一部がこの地域に出入りしている可能性もあります。もし、その状況を放置した結果として、今回の事件のようにミンダナオ周辺の戦略環境が不安定化すれば、日本のシーレーンは、マラッカ海峡ルート、ロンボク海峡ルート(巨大タンカーが日本に向かった日常的に航行している)共に大きなリスクを抱える事になるでしょう。このあたりの安全保障環境に関しては、日本は可能な限り各国と協力しつつ、かつ自前で情報収集を行って、これらのゲリラの動きと資金、武器の流れを押さえるべきです。特に、アメリカがシリア問題にとらわれて、アジア太平洋に十分進出しておらず、またオーストラリアも景気の悪化や軍事費削減で動きが取れない今、この地域に権力の空白を作ってはならないと考えます。

 (了)


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