南アルプス山岳救助隊の星野夏実は、日本二位の高さ、標高3,193mを誇る北岳、その警備派出所に着任する。
ボーダーコリーの救助犬メイと過酷な訓練と任務に明け暮れる夏美は心の奥に誰にも言えない深い疵を抱えていたが、山での生活と人命救助活動の中でその意識が変わっていく。
そんな中、ある大物政治家が北岳を登りに来ることになり…。
東日本大震災での救助活動と、そこで負った心の傷を経て南アルプスの北岳に駐在する山岳救助隊へと配属となった星野夏美とそのバディであるボーダーコリーのメイ。
夏実本人にとってはギフトというより呪いだった〈共感覚〉。
彼女の〈共感覚〉は様々な人の感情が色として浮かび上がってくるものとして現れ、それは特に悲劇の現場では失った命、救えなかった命の重さに耐えられなくも。
特に序盤に描かれる3.11での被災地での描写は、胸が締め付けられるような生々しい描写に読んでいるこちらも痛みを覚えます。
そんな呪いも、メイという癒しの存在と過酷な山岳救助活動という環境の中で、いつしか乗り越えるものではなく、それを背負って生きていくものなのだと、大自然と一緒に活動する仲間を通じて感じ取れるようになっていきます。
その姿は清々しくも胸を熱くするように描かれており、思わず目頭が熱くなる場面も。
山岳+警察小説の趣きが強くなる終盤では、著者の願いと祈りをも感じることができたような気がしました。
愛らしいメイの活躍は癒しでもありますし、このシリーズ、続きも読んでいこうと思います。

