瞬きすら許さない 海外ミステリー | 固ゆで卵で行こう!

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ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

キャット・フランク警視正は、新設の捜査チームを率いることになる。

それは、ホログラフの体をもったロックという名の人口知能「捜査官」による捜査支援を受ける実験的プロジェクトでもあった。

ベテランの警察官として経験や直感を大切にするキャットは、このAI捜査官を否定するためにも新設捜査チームのリーダーを引き受け、未解決失踪事件の捜査を開始するのだが…。

 

 

 

 

AI捜査官のロックとAI拒否派の警視正のキャットの凸凹コンビのやり取りは、本人達はいたって真面目だけれど妙にユーモアがあって、思わずクスッと声に出して笑うぐらい可笑しくも。


そんなやり取りが最後の最後で活きる様子、それに散りばめられた伏線が明らかになり、キャットが焦燥感に駆られる様子には思わず一緒になって怒りや悲しみを感じながら、事件解決まで一気読みでした。


実をいうと、伏線部分については「もしかして」と推測できて、ある程度先が読める部分はありました。

 

けれぢ、事件の真相そのものは、決して許されるものではないけれどそれでもその動機には共感してしまう部分もあって、AIと共に生きる未来とあわせて考えさせられる部分もあり、そういった点も読み応えありました。


主人公のキャットだけでなくキャットの部下となる二人や、息子のカム、AI捜査官開発者のオコネド教授、それに被害者家族が、それぞれ悩みや問題を抱えている姿もリアル。


その中でも、なによりも「人々の痛みをやわらげ、安全だと感じさせ、恐怖を減らすこと」を警察官の存在意義だと、被害者家族に寄り添いたいと願っているキャットが警察官として信頼できる人物として、そして夫を失った哀しみと一人息子との関係に思い悩む一人の女性として魅力的な人物でした。


そんなキャットに対し、明文化されていないことに対して理解できるはずのないロックが、自身の職務としてキャットの苦痛に寄り添うような言葉を口にするなど、噛みあう筈のなかった二人が、いつしかまるで互いに認め合うかのような姿を見せる場面も印象的でした。

 

特にキャットがロックについて「それ」ではなく「かれ」と思わず言ってしまう場面や、映画『カサブランカ』で主人公のとった行動が理解できないというロックが


それにしても未解決の部分もありますし、AI捜査官ロックの成長も垣間見えたラストには続編もありそうで、叶うなら二人のバディぶりをまた是非見てみたいです!

 

 

 

 

ところで本書は東京創元社さまの〈ゲラ先読みキャンペーン〉に当選、発売前に一足早く読むことができましたが、読みやすく特に後半は一気読みの読書体験を楽しむことができました。

東京創元社さま、ありがとうございました(≧▽≦)