探偵はパリへ還る 海外ミステリー | 固ゆで卵で行こう!

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第二次大戦下、探偵ビュルマは捕虜して働いていたドイツの捕虜収容所にて、同じ捕虜で記憶喪失の男の死に際に謎の言葉を聞かされる。

そして釈放されてパリへと戻る途中のリヨンにてかつての探偵助手コルベルと再会するも、コルベルは何者かに銃で撃たれ、彼もまた死に際に記憶喪失の男が放った言葉と同じ言葉を残す。

ビュルマは二人の男が遺した言葉の謎、そして助手を殺した犯人を追い求める。

 

 

 

〈私立探偵ネストール・ビュルマ〉シリーズの1作目。

 

二人の男が遺した同じダイイングメッセージは何を示しているのか。

探偵助手だったコベルコは誰に何故殺されたのか。

コベルコが殺された時に居合わせた女優似の美女の正体とは。

 

助手のコルベルが殺されたリヨンにて調査を進めるビュルマは、弁護士のモンブリゾンやリヨン警察のベルニエ警視、それに新聞記者のマルクなどの力を借りるのですが、それぞれのキャラクターも味があって、ビュルマとの掛け合いや駆け引きを、特に、互いに手の内を見せずに情報を交換しあうような様子にはニヤリとさせられるものが。

 

やがてリヨンでの調査中にビュルマはパリへと送還させられることになるのですが、パリに帰還した後も旧知の仲であるパリ警視庁刑事のファルーの協力を得て、事件の核心に迫っていきます。

 

強引に思える調査の仕方はやはり古い作品らしさを感じますし、ちょっと偶然が過ぎないかなどのツッコミどころはあります。

 

けれども、ストレートなハードボイルド探偵ものとしての魅力以外にも、ちゃんとした謎解き、関係者を集めての「犯人はこの中にいる」もあって実に楽しかったです。

 

実際、犯人や事件の裏側にある真相もなかなか意外性があって、単なるハードボイルドでは無く、伏線も回収して真実が明らかになるようなミステリーとしての魅力も十二分に得ることができました。

 

また、物語内の事件はクリスマス時期に解決されるので、ちょうどクリスマス時期に読めたのも良かったかも。

 

 

ところで本書は1943年に発表されたフランス初のハードボイルド小説で、主人公はフランスで最も有名なハードボイルド探偵とのこと。

 

そしてこのシリーズ、過去に邦訳されているものもあるようですが、どれも絶版状態のようで残念なところ。

 

この機会にまた読めるようになって欲しいな。