戦火で片足を失い、義足となって帰ってきた元プロボクサーでもある、私立探偵マンヴィル(マニー)・ムーンの活躍を描いた短編集。
短編集といってもどれも中編といってもいいぐらいのボリューム。
そしてそれぞれマニー・ムーンの魅力が詰まった一編となっていて、読んでいて実に楽しかったです。
メリケンサックで殴られたせいで、鼻は曲がり、瞼の下がったその顔は、虐待されたセントバーナードのようだとも言われたこともある、自他共に認める醜男。
なのに、なぜか女性からはモテモテ。
その中でもかつての婚約者だというファウスタの、どこまで本気か分からないような、他の女性に対する嫉妬するような様子が可愛かったですね。
さて、そんなモテモテなマニー・ムーン。
部隊仕込みの能力で、実力行使も躊躇しないタフガイながら、実に頭が切れる男でもあります。
毎回のように関係者を集めて真相を語るような、そんな謎解きも鮮やか。
そしてタフガイだけれど、危険な場面では怖がったりなど、人間らしい姿も見せてくれるので、好きにならずにはいられませんよね。
マニー・ムーンとどこかいびつな友情関係にあるようなデイ警視との、思わずクスッとしてしまうようなやり取りも可笑しかったです。
また、ラストの一文がまた気の利いたセリフ、行動やその結果などが描かれていてニヤリとさせられます。
一冊の本として少々ボリュームありますが(解説含めて800ページ弱)、一編一編、じっくり楽しみたい、そんな作品集です。

