降霊会(ニセ)にてテーブルの上に突然出現した死体。
参加者はそれぞれ手を繋いでおり、死体となって現れた本人も直前には離れた場所でのネット配信映像でその存在は確認が取れているという。
元イリュージョニストのテンペストは、容疑者となった祖父の無実を晴らすためにその謎に挑む。
〈秘密の階段建築社の事件簿〉シリーズ2作目。
瞬間移動してきたとしか思えない状況で発見された死体。
事件そのものは不可能犯罪に見えますが、主人公は元イリュージョニストらしく、何をどう見るか、もしくは見えないのかがポイントとして謎に挑みます。
古今東西のミステリーへの愛が詰まっていますし(日本の作家、作品にも言及されています)、新本格のような雰囲気も含め、本格ミステリー味のコージーミステリーとして前作同様に楽しめました。
ただ、ラージ家の長子は呪われるといった言い伝えや、死んだとされる母親や叔母の謎など、家族の物語として主軸があり、そこにイリュージョニストのサンジャイや建築社の社員であるギディオンとの二人の間で揺れるような、ロマンスの予感などが絡められているので、謎解きとしては魅力的な設定ながら、それゆえにそこに集中しきれないのがちょっと残念なところでしょうか。
反面、テンペストの様々な感情の起伏には一緒になって揺れ動くこともできますし、テンペストの祖父の作る料理も含めて美味しそうな品々には、その味を想像したりなど、読んでいて実に楽しいので不満に思えた部分もプラスマイナスゼロかも(笑)。
さて、テンペストが働いているのは、客の要望に応えて秘密の仕掛けや隠し部屋などを作る、父親が経営している建築会社。
今回の犯罪現場もその建築会社によってミステリー読書会用に改修した地下室で、そこにはクリスティのとある作品の舞台をモチーフにした書斎など、ミステリー好きにはたまらない仕掛けが多数。
ミステリーファンは勿論ですが、そうでなくともこんなスペース、欲しくならないわけが無く、秘密の階段建築社さんに注文したくなります。
そんな素敵なスペースで開催された降霊会ですが、いくら浮気して追い出し、間もなく「元」がつく夫の存在を消したいと思っても、生きている人間の降霊会っていのうは、なかなかぶっとんだ発想だと思いません?(笑)
さて、次作でこの2作で秘められていた謎が明かされるらしいですね。
計画中のテンペストのイリュージョニストとして最後の舞台も見てみたいですし、シリーズ3作目の紹介、待っています!

