『リッチ・ブラッド』 ロバート・ベイリー | 固ゆで卵で行こう!

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交通事故案件を専門に手掛けている弁護士のジェイソン・リッチは、アルコール依存症克服のため、3か月間のリハビリを終えて退院した直後、疎遠だった姉から連絡を受ける。

夫殺害の容疑で逮捕された姉からの弁護依頼を受けたジェイソンは、刑事事件どころか法廷に立った経験も無く、姉の不利が確実の中、姪たちのためにも弁護を引き受けることにするのだが…。

 

 

 

 

胸熱な〈マクマートリー〉シリーズなどでお馴染みロバート・ベイリーによる新シリーズは、「ビルボード弁護士」と呼ばれるジェイソン・リッチが主役。

ジェイソンはアラバマからフロリダまでハイウェイに大きなビルボード(看板)を設置する事で多くの交通事故案件の顧客を得て成功している弁護士。

刑事弁護どころか法廷に立った事すらなく、交通事故案件で荒稼ぎしている弁護士という設定が面白いですね。

そんな主人公のジェイソンですが、夫を殺害した容疑で逮捕された姉からの依頼で初の刑事弁護を引き受ける事になります。

そもそも奔放な姉との折り合いが悪く、姉家族とは疎遠だったジェイソン。


昔から姉の言動に振り回されてきた事もあり、無実を訴える姉をそもそも信じる事ができるのか。
そして著しく不利な状況で姉を救う事が出来るのか。

また、自身がアルコール依存症の問題を抱えており、リハビリ施設から出たばかりのジェイソンは、自分自身が抱える問題とも向き合う必要が。

更に、姉の弁護にあたり、ジェイソンを脅迫してくる存在も。
それはジェイソンのみなならず、姪である姉の娘たちの安全を脅かすもの。

様々な問題を抱えながら、どう見ても不利な状況の中で果たしてどう逆転劇を見せるのか、著者のこれまでの作品同様にドキドキとさせ、そしてビターな展開に読むのが止まらなくなります。

また、読む者の心を熱くさせるのが、主人公が金の亡者のようなビルボード弁護士かと思いきや、仕事上のパートナーや疎遠だった姪たち、そして再会した女性に見せる優しさや愛情、それに思いがけず湧き上がる姉に対する想いなど、それらを通じて見せるジェイソン自身が再生する姿ではないでしょうか。

期待に違わず面白かったです。次作も早く読めますように!