シリコンバレーで19歳の女子大生が失踪。
警察は事件性は無いとするが、父親は娘が家出をしたのでは無いと捜索に懸賞金をかける。
人捜しの懸賞金ハンターのコルター・ショウは、わずかな手掛かりから彼女の行方を追うが、事態は連続誘拐事件へと発展し…。
懸賞金ハンター〈コルター・ショウ〉シリーズ1作目。
ディーヴァーの他のシリーズに比べても、とにかく軽快でテンポがいいのでサクサク読めました。
主人公のコルター・ショウは、懸賞金ハンターといってもバウンティハンターとは違い、事件性の有無に限らず人を捜す事を生業としているという設定がいいですね。
そのおかげで感情移入しやすく、連続誘拐事件の目的とその犯人について、ショウと共に追いかけながら読む進む事ができます。
また、ディーヴァーといえばどんでん返しが代名詞みたいになっていますが、本書もどんでん返し的な部分はあってもその様相は控えめでしょうか。
あまりどんでん返しを意識しないで読めたのは個人的には良かったです。
読みながら残りのページ数を見て「まだ何かあるよね」と構えてしまうのはディーヴァーの読者の悪い癖かも知れません(笑)。
それに、主人公もですが、相棒となるスタンディッシュ刑事や最初は無能に思えた人の扱いなど、脇役も魅力的に描かれていたかと思います。
ところで舞台が世界的なIT企業などイノベーション企業が多く集まるシリコンバレーという事で、成功した人たちが住む街というイメージがあります。
しかし、失踪した娘を捜すのに一万ドルの懸賞金をかけた父親は、暮らしていくために低所得者層が住む地域への引っ越しを予定しているなど、決して裕福な人ばかりが集まっている訳ではなく、他の街と同様に持つ者と持たざる者の線引きがされているといった描写も印象に残りました。
さて、小さい時からサバイバル術を父から叩き込まれていた主人公ですが、その父の死の謎を追い求めているというのがバックグラウンドがあるので、それについて今後はよりフォーカスされていきそう。
そういった部分を含め、更なるショウの活躍ぶりが楽しみです。


