麻薬密売人のクライド・モートン、通称ヴァイパー。
3度目の殺人で初めて自責の念に駆られるクライドは、ジャズの庇護者バノニカから「3つの願いが叶うとしたら何がいい?」と訊かれ、真剣に考え始める。
友人である刑事カーニーからは逮捕に向かうので3時間以内に街を出るようにとの助言を受けます。
時間が迫る中、トランぺッターとして夢見てNYにやってきたものの、その夢が早々に破れた時からの事を思い返すのは、運命の女性との出会いと麻薬密売人として成り上がった日々。
短い物語だけどそれだけに濃厚な、ジャズの音色に彩られた青春小説でありノワール小説。
マイルス・ディビスやセロニアス・モンク、チャーリー・パーカーなどの実在のミュージシャンも登場し、6その時代の猥雑ながら熱に浮かされたような空気感が得れます。
また、クライド自身が組織の中で成り上がっていく姿を見守る訳ですが、クライドがバノニカとはまた違った形でジャズの庇護者であったり、商売にしても自身の信念を曲げない姿が魅力的だったりします。
しかしながらこの物語、クライドにとって悲劇しか待っていないと読んでいて想像に難くありません。
終盤、クライドにとってまるで若き日の自分を見ていてるようで、自身の後継者となりそうな若者を重用する事になるのですが、その存在はクライドの運命に大きくかかわっていきます。
ハッピーエンドは望むべくない、そうと分かっていながら読むのがやめられず、その先を想像させるラストには余韻にどっぷりと浸れました。

