1957年、ロンドン郊外の町。
怪我をしているニシコクマルガラスのヒナを連れて帰った11歳のミック。
両親や親友のケンと共に手当をし、ジャックと名付けられたニシコクマルガラスは両親が営むパブや地域のみんなの人気者になり、ミックは後にロンドン動物園の主任飼育員になったという、実際にあったお話に基づいた物語。
動物とのふれあいだけで無く、それを通じて描かれるのは親友のケンとの友情や、終わって10年以上経っていても戦争によって傷についた身体や心について向き合うようになる姿。
ミックは傷付いたニシコクマルガラスのジャックを保護した事で、命の大切についてや、親友のケンだけでなく周りの大人たちも含め人の思いやりについて学んていきます。
それは、戦争の英雄だと思っていた父親が実は自分が信じていた英雄とは違った事を知り、父親が戦争で体験した事実と抱えてきた重いものを受け止める姿を通じる事で、主人公のミックだけでなく読者もより強く感じるのでは無いでしょうか。
また、少年らしい繊細の心の動きもリアルに描かれています。
親友のケンに対しても、保護したニックへの愛ゆえに独占欲を見たり二人が喧嘩する様子などには、親目線でハラハラしたりも(笑)。
もちろん、ニシコクマルガラスのジャックも可愛く、ミックの肩に乗る姿、パブの従業員に嫌な顔をされるも、なんだかんだでパブに集うみんなと同様に愛されている様子や、列車に飛び移る姿など見どころも満載。
少年の冒険と成長を鮮やかに映し出され、単なる動物ものの児童文学ではない深い味わいがありました。
また、表紙の躍動感あふれるイラストも素敵です。この場面がなんとも鮮やかなんですよね。
なので読み終えて眺めると余計に切なくなるものもありました。

