『かすてぼうろ 越前台所衆 於くらの覚書』 武川祐 | 固ゆで卵で行こう!

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越前府中城の炊飯場で下女働きを始めた13歳の於くらは、ひょんな事から城主の堀尾吉晴と縁を持った事がきっかけで、台所衆として料理人を目指す事に…。
 
 
 
 
戦国時代末期、関ヶ原の合戦前夜の越前の国。

農家の娘である於くらが人に寄り添う料理を作ろうとする姿が清々しくも凛々しく映る、成長物語であり、お仕事小説。

地元が舞台だけに知っている場所が出てくるのでイメージしやすかったですね。

特に冒頭、ちょうど本書を読む前に主人公の於くらが登る山について紹介されている地元のケーブルテレビを観たところで、一度登ってみたいと思っていたのも良いタイミングでした。

また、基本的に悪い人がいないので、読み終えて心地よくなれるのも良かったです。

於くらは、農家の出でしかも女性でありながら、武家の台所衆として認められていく様子が、時の城主との交流と終わりゆく戦国の世の移ろいと共に描かれています。

於くらが作る料理、タイトルにある「かすてぼうろ」の他に越前蕎麦や里芋田楽など、食べる人が喜ぶような、そんな料理の数々は解説付きでこれもまたイメージしやすかったも。

於くらにとっての戦である料理、それを受け継がれていくようにと願う希望に満ちた物語でもありました。

ところで、欲をいえば於くらの日々の生活の様子なども含め、もう少しじっくりと見てみたかったかも。

於くらの恋模様、朝倉氏が織田に滅ぼされるも豊臣の世を経て徳川の世へと移り変わる歴史的背景、武士の誉、それに戦についてなど、物語の根底には様々な要素が詰まっているので、その辺りのエピソードが肉付けされていても面白そうと感じました。

まぁ、そうすると「みをつくし料理帖」のような大長編になるかもですが(笑)。