『死はすぐそばに』 アンソニー・ホロヴィッツ | 固ゆで卵で行こう!

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〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ5作目。

絶好調なシリーズですが、もしかしてこれまでで一番好きなお話だったかも。

これは常にイライラさせられるホーソーンの出番が少なかったからでしょうか(笑)。



新たな事件も無くホーソーンの活躍を描くネタを欠いたホロヴィッツが、出版に関する契約の関係で、やむにやまれずホーソーンに過去に解決した事件の話を聞いて、それを執筆する事に。

ホーソーンはある殺人事件について、嫌々ながらもホロヴィッツに語る事に同意するのですが、ホーソーンは事件の顛末を明きらかにせず、小出しにするようにしか語りません。

ホロヴィッツは聞いたところまでを執筆していく形になるので、事件の犯人や真相が分からず悶々とし、現地を訪れるなどして自ら過去の事件の調査を行うと共に、ホーソーン自身と優秀だったというホーソーンのかつての相棒についても調べる事に。

ところがそんなホロヴィッツに対して調査しないようにと、何者からか警告が。

いったいどんな理由がそこにあるのか、真相が明らかになった時、ホーソーンの新たな一面が明らかになり、ホーソーンの事を嫌いに思っていた読者もちょっと見直してしまうんじゃないでしょうか。

さて、今回は過去の事件は当然ホロヴィッツの視点では描かれず三人称で語られているのが特徴で、これがまた作中作のようですこぶる面白かったです。

クリスティ風な出だしから計算されつくした犯行の顛末。

また、ひとつの閉鎖的な空間での人間模様の描き方もやはりクリスティのよう。

それに、ホーソーンと共に行動していない事でホロヴィッツの愚痴も少なめで、読みやすく感じたかも(笑)。

でも、事件について語りたくないと言っていたホーソーン、どうして語ってしまったんでしょうか。

なんだかんで胸の内を明かしたい願望、それにホロヴィッツを信用している証だったりして。

 

 

 

次作が待ち遠しいシリーズです。