『木曜殺人クラブ 逸れた銃弾』 リチャード・オスマン | 固ゆで卵で行こう!

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引退者のための高級施設クーパーズ・チェイス。
そこでは毎週木曜に過去の未解決事件について話し合う4人が。
4人は人気TV番組に出演していたアシスタントが、あるスクープを追っている最中に崖から車で落ちて死亡したとされる事件の真相を巡って調査に乗り出すのだけれど…。



〈木曜殺人クラブ〉シリーズ3作目も絶好調!

今回は未解決事件の調査に乗り出したエリザベスが、何者かに脅迫を受けるという事態も並行して描かれていくのですが、それらの事件の行方というものは、真相が明らかになったと思ったところで、意外性のある事実が幾重にも重なり浮かび上がってきて驚きも。

とはいえそこで全てが明らかされない事も。


この辺りについての更なる展開も含めて次作も楽しみです。



ところでこのシリーズ、1作目はクリスティ風の本格ミステリーの装いでしたが、2作目では冒険小説風味が増すものとなっていました。

そして本作は2作目を更にパワーアップしており、読んでいてとにかく楽しかったです。

エリザベスたち木曜殺人クラブの面々は勿論なんですが、脇を固める登場人物たちも魅力的なんですよね。

クリスにドナといった1作目から登場し、エリザベスたちに協力する警官たちは巻を重ねるごとに。


更に今回新たに登場するTVの人気キャスターや元ロシアの諜報員、果てはエリザベスを脅迫してくる敵までも。

とにかくこのシリーズは‟愛と友情”がいっぱいで嬉しくも幸せな気分にさせてくれます。

その一方で、エリザベスの夫であり認知症が進んでいるスティーヴンの事なども含め、どんなに活き活きとした老人たちとして描かれていても、先に待ち受けるものの予感に切なくも。

ラストのジョイスの独白部分にはうっすらと涙してしまいました。

そうそう、ジョイスといえば前作でも思いましたが、やはりこのシリーズの真の主役は彼女なんじゃないかと今回も思える活躍を。

うん、ジョイス、最強(笑)。


ところで著者はこのシリーズを〈特攻野郎Aチーム〉のようなものをと仰っているそうですが、ユーモラスでプロフェッショナルな描写なんかは、ドナルド・E・ウェストレイクとウェストレイクの別名義、リチャード・スタークの両作品を思い起こしたりもしました。