『アミュレット・ホテル』 方丈貴恵 | 固ゆで卵で行こう!

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「アミュレット・ホテル」には本館と別館があり、本館は普通の人が利用できるホテルであるが、別館は犯罪者の会員専用ホテル。
利用者には様々なアメニティ(武器など含む)が用意され、会員はそれらの恩恵を受ける事ができるホテル。
ただし、このホテルには守らなければならない二つのルールがあった。
「1. ホテル敷地内で傷害・殺人事件を起こさないこと」

「2. ホテルに損害を与えないこと」



設定を読んだ時に映画『ジョン・ウィック』シリーズみたいだと思っていたら、作中でもホテルのオーナーが「殺し屋の復讐劇を描いた映画にインスパイアされて」作ったいう説があるというような記述も。

うん、確かにあの映画に出てくる「コンチネンタル・ホテル」は魅力的な舞台ですもんね(笑)。

さて、本書の主人公はホテルで起きた事件を解決し後始末を行う「ホテル探偵」の桐生。
桐生によって、犯罪者によって起こされた事件を解決されていく様子が描かれた四つの短編が収められた連作短編集となっています。


Episod.1「アミュレット・ホテル」


死体が見つかったホテルの一室が密室となっていた事により、その密室の謎に挑むのですが、密室トリックそのものよりも、密室の謎が判明した後の展開に驚きが。

それも一つではないのですが、成程これは最初にもってこないといけないお話だと納得の一面も。



Episod.0「クライム・オブ・ザ・イヤーの殺人」


こちらは桐生がホテル探偵になるきっかけとなった事件が描かれており、桐生の過去、そして人となりが伺えるお話。


Episod.2「一見さんお断り」


ある理由でアミュレット・ホテルに入り込もうとするスリ師の若者の奮闘が描かれ、その若者視点であるせいか、どこか微笑ましいような雰囲気が特徴。



Episod.3「タイタンの殺人」


アミュレット・ホテルの存続についての会議で起きた殺人事件は、なかなかプロットも仕掛けも複雑で、こちらも密室といっていい状態で起きた事件なのですが、ホテルのオーナーが容疑者となる中で、謎が解けた後に明かされる、ある真実が印象に残ります。


どの作品もプロの犯罪者ばかり登場する割には、派手な暴力描写もないですし、モデルとなった銃撃戦も無く、死体は出るもののどこかユーモラスな雰囲気で読みやすいです。

また、本来は証拠を集め事件を解決するべき警察がここには一切登場する事は無いという、これもある種の特殊設定下で描かれる本格ミステリーなんですよね。

続編が出たら読んでみたいですし、犯罪者専用ホテルという設定を活かしたもう少し派手な展開を見せる長編も読んでみたい気もします。