『ナイフをひねれば』 アンソニー・ホロヴィッツ | 固ゆで卵で行こう!

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〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ4作目。

いよいよホーソーンと決別しようと決意したホロヴィッツですが、自身が書いた舞台の脚本を容赦無くこき下ろした劇評家ハリエット・クロスビーが殺され、その容疑者となった事からホーソーンに泣きつく事に。

この設定だけでもう面白い(笑)。



そして面白さを増幅させるのがホロヴィッツの嘆き節。

ホーソーンに対する不平不満を抱えながらも、ホーソーンに頼らざるを得ない状況。


自信のあった脚本をけなされた事や、あまり協力的では無い舞台関係者たち。


これまでの経緯と今回の有力な証拠(と思われるもの)があるとはいえ、ホロヴィッツが犯人だと決めてかかるカーラ・グランショー警部とダレン・ミルズ巡査。

それらについて、時に自虐的にも嘆き苛立つ様子のホロヴィッツが可愛そうではあるけど、どこか滑稽でもありました(笑)。


事件そのもの、そしてその行方の描き方は、クリスティへのオマージュたっぷり。


舞台の上に事件関係者を集めて真実を明らかにする様子まで、まさに王道的な展開。

正直、過去の事件について語られてからは、犯人については見当がつきましたが、しっかりと伏線を回収し、明らかになっていく様子はやはり楽しめました。


そして読者が何より気になるホーソーンその人。


決して自身の事を話そうとしない秘密主義のホーソーンですが、これまで少しずつ明かされてきたように。ホーソーンの住居についてなど今回も彼の秘密の一端が明らかになります。


とはいえ、ほんのちょっとしか明らかにならないせいで、余計に彼の事が分からなくなってくるのもいつもの通りだったりして(笑)。


それにしても、嫌な人間を書かせたらホロヴィッツは随一ですね(笑)。


正直、ホロヴィッツが描くホロヴィッツ自身もうざく感じますし、ホーソーンもやはり(作中の)ホロヴィッツが感じるようにイラっとさせられます。


家族からも嫌われていた今回の被害者も、そして事件関係者も、感情移入できそうにない人間ばかり、よくもこんなに集めたなといった印象です(笑)。


何はともあれ今回も楽しみました。


ホーソーンとホロヴィッツのコンビぶり、次回も楽しみです。

 

 

 

 

ところで先日、本書の刊行記念として行われた〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ特製図書カードプレゼントキャンペーンに応募したところ当選!

 

昨日帰宅したらポストにその図書カードが届いておりました。

 

 

 

東京創元社様、ありがとうございます!

 

今後も面白い海外ミステリの紹介、楽しみにしております(≧▽≦)