『ホステージ 人質』 クレア・マッキントッシュ | 固ゆで卵で行こう!

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ロンドンからシドニーへの初の直行便という歴史的フライトに搭乗した客室乗務員のミナは、娘ソフィアの身の安全を脅かされ、ハイジャック犯に協力する事に。
一方、地上では、ミナの夫アダムもソフィアと共に危機に陥っていた…。



客室乗務員のミナが他の客室乗務員と変わってまでこのフライトに乗りたかった理由、それにかつてはパイロットを目指していたけど断念した過去。

ミナの夫であるアダムがミナに対してひた隠ししているもの。

そしてミナとアダムが養女として迎え慈しんでいるけど、接し方が「難しい」娘ソフィアへの複雑な想い。

それらを軸に描くパニックスリラーは読み応え十分。

とはいえ、ハイジャックそのものが起きるまでも長いので、もうちょっとコンパクトな方が緊張感やスリル感がより味わえたような気もします。

けれども、ミナたち家族の関係性などがじっくりと描かれているからこその良さもあり、何よりもフライトが終えてから作中に漂う不穏な空気感は最高です。

また、ハイジャックされている飛行機の中では、ミナが悔恨に駆られながらも、愛する娘と夫への想いを再認識し、事態をなんとか打破しようと奮闘する姿には手に汗握るものがあります。

そして、それと交互に描かれるミナの夫アダムによる地上でのパートもまたアダムの悔恨や焦燥感、ミナやソフィアへの愛が強く伝わってきて飽きさせません。

また、ハイジャック犯によるハイジャックの方法もまた面白かったですね。

ラストは背筋がゾワッとするような、それでいて爽快感みたいな複雑な感情を覚えましたが、この辺りは人によって分かれそうで、読み終えた人と語り合いたくなりますね。

600ページ以上とボリュームある作品ですが、充足感も半端なかったです!



 そういえば著者クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』も面白かったのを思い出しました。

 

著者の他の作品が今後も紹介されますように…☆