これまた何度目かの再読となる、私立探偵〈アルバート・サムスン〉シリーズ6作目。
銀行家の妻の出生証明書が偽造されたものだったことから、その理由を調査して欲しいとの依頼を受けるサムスン。
サムスンが調査を進めたところ、それは過去の悲劇を呼び覚まし、やるせない真実と現実を浮かび上がらせます。
その様子は、時にユーモア溢れる語り口でもって、緻密なプロットで描かれています。
そんな中で印象に残るのは、サムスン自身の生き方そのものとも言える正義感や倫理観で、それはやはり〈美学〉として憧れるものが。
その〈美学〉そのものは、決して生きやすいものでは無いかも知れず、悪く言えば頑固でしかないけれど、それでも自身に嘘をつかない強さを持てたらなと思わずにはいられません。
それにしても随分と久しぶりの再読だったので、事件の内容や行方についてはすっかりと忘れており、そのぶん余計にこの二転三転する様や、サムスンの誠実な人柄を改めて楽しめました(笑)。
そして、前作の『消えた女』同様に本書も傑作だと再認識。
ま、このシリーズは、どの作品がどうのこうの以前に、問答無用でお勧めなんですけどね(笑)。
