再読も三回目ぐらいかなと思う本書。
その昔に初めて読んだ時は「事件がなかなか起きずに退屈だなぁ」なんて、序盤については思ったものです(;・∀・)
しかしアクロバティックなトリックに溢れる旅情を楽しんだ記憶が。
でも、再読、それも複数回となると、記憶に残っているところとは違う部分に目が行くようになりますよね。
そして、ピーター・ユスチノフによる映画版やのディビッド・スーシェによるドラマ版の印象も残っているせいか、誰が誰でどうなったのか、ごちゃ混ぜで記憶されており、あらためて読みながら整理する事にもなったり(笑)。
さて、それで今回の再読で印象に残った部分というと、ポアロ自身が言うように、化石発掘のように余分なものを省いて真実を明らかにするという推理法。
これ、確かに今回の事件には余分なものが多すぎるんですよね。
いくらなんでも偶然が過ぎるというか、これらが無かったら、もしかしたら単純な事件になっていたんじゃないのってぐらいです(笑)。
そしてアクロバティック過ぎるトリック。
これについても全ての条件が当てはまらないと犯行を実施したとしてもすぐに露見したはず。
そういう意味では犯人にとっては幸運のうえに幸運が重なったと言えるのでは。
そう、ポアロさえいなければ・・・ですが、これは、まぁ探偵もののお約束なので(笑)。
そして犯人の豪胆さと忍耐強さと愛の深さが何よりも印象深いです。
その強さ、犯罪以外に使えれば幸せに暮らせたんじゃないでしょうか。
ただ、本作でもクリステーィは人間の普遍的な欲望を描いており、それゆえにいつの時代の読者も惹きつけられるのではないでしょうか。
それにしてもこの犯行をいつ思いついたんでしょうね。
今回の再読までは、そもそも最初から計画していたと思っていたんですが、あらためて読むと、実はそうでは無かったんじゃないかと思えてきました。
実際、犯行計画を語っているように見える場面も、そう見えるように描かれているだけで、実はたんに励ましているだけのように見えます。
そう思うと、欲望にとらわれた犯人が哀れかも。
そんな犯人にもどこか優しい目で見守るポアロ。
いつの時も「愛」を何よりも神聖視しているように見えるんですよね。
そして、そう、あくまでも警察官ではなく探偵であるからこそ、優しくあれるのかも知れません。
