『吸血鬼ハンター(41) D-暁影魔団』 菊地秀行 | 固ゆで卵で行こう!

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〈吸血鬼ハンター〉シリーズ41作目。
 
 
自ら貴族化を望む狂信的な集団である暁影団に滅ぼされた集落で、‟(貴族)もどき”生き残った娘ジョゼット、そして子供のアルルとカーンは、美貌の吸血鬼ハンター‟D”と共に、再び人間に戻るために暁影団を追うのだけれど…。
 
 
うん、今回のお話、好きかも。
 
ラストの描き方も含め、ちょっといつもとは違った感じもあるんだけど、なにより序盤にDの微笑が見れるとは!
 
登場人物がDに微笑を浮かべさせるというシーンはこのシリーズでの定番のシーンの一つ。
 
とはいえ、必ずしも用意されている訳では無く、あっても基本的には最終盤で描かれるこの場面。
 
今回は割と序盤で描かれたので、不意をくらったせいか、思わずキュンして、そしてなぜか泣けてきました(笑)。
 
しかし今回のDはいつものような強さも見せるけど、助けがなかったらかなり危なかったですね。
 
それにしても宇宙の果てで見たものとは、果たしてどれほどの絶望をもたらすものだったのでしょうか。
 
人間も、そして貴族(吸血鬼)たちもその絶望を知っては生きていく強さを失う中で、Dが一度は倒れても立ち上がるその強さの源とは。
 
そして。〈神祖〉の実験と唯一の成功例について、前回もそうでしたが、今回もいつも以上に語られているのも興味深かったです。