神社の家に生まれた鷹守は、好きな女生徒の葵が脅かされていると知り、神社に祀られている‟なにか”に、葵を脅迫し苛めている者たちの死を願う。
すると、呪われた同級生たちが、スキーの板で、地下鉄の鉄扉で、墜落する信号機によって次々と首を断たれる怪死する事件が発生する。
そんな中、謎めいた美少女の縦島ひとでが転校してくる。
ひとでなしのひとでちゃん。
前半は鷹守によって物語が進みます。
この鷹守、好きな女の子を守ろうとする姿に最初は感情移入しそうになりましたが、予想した人物像が裏切られていく事に。
なんといっても、いくら好きな子を守ろうと思っても、何の躊躇いもなく誰かを殺そうとし、それが叶っても平然としていられるなんてサイコパス以外なにものでも無いですよね。
だんだん鷹守の事が嫌いになりかけたところで急展開を見せ、そして中盤以降は、鷹守が好きだった葵と幼馴染である水色と、謎の転校生、縦島ひとでによって物語が動きます。
前半はバリバリのホラーといった感じが、中盤以降はサスペンス要素も強くなり、思っていたのと違った展開を見せるのが面白かったですね。
とはいえ、著者の『あなたの右手は蜂蜜の香り』に関する記述もあり、誰かを犠牲にしなければ助からないという究極の場面にて、命の選別、優先順位について考えさせられる学級裁判的な場面が印象的。
それは人間の性、業と言った真実を映し出していて、この物語で最も恐ろしいと思える場面でした。
結局死人が何人も出ているのでハッピーエンドとは言い切れないけれど、ひとでちゃんと水色のバディぶりは読んでいて可笑しくあって、二人のやり取りや活躍をもっと見たくなりますし、やはり映像化しても面白そうですね。
続編、期待したいな。