憧れの名探偵を描いたミステリ作家の一家に、メイドとして就職した音更風゛(おとふけぶう)。
けれども不仲な一族の間に不穏な空気が漂い、殺人計画を知ってしまう。
風゛はその殺人計画を請け負った男、ミステリープランナーを名乗る豺(やまいぬ)と「フェイク殺人計画」を練って殺人を阻止しようとするのだけれど、予想外の人物が本当に殺されてしまい……。
まず最初にマーダーミステリーゲームで起きた本当の殺人事件が描かれるのですが、まるでコメディというかパロディのような短いお話で、いまいち乗り切れないかもと不安にさせられました。
しかし、〈館〉シリーズを思い起こさせるクローズドサークルで起きる連続殺人事件が本番。
探偵役は小説の中の架空の名探偵の生まれ変わりだと主張するメイドの風゛(ぶう)とミステリープランナーの豺(やまいぬ)。
就職したミステリ作家の一族の中での殺人計画を知った風゛が、豺と共にその阻止に動くのだけれど、風゛の天然なドジっぷりのせいで、偽殺人計画が破綻し、思いがけない事態へと発展していきます。
どちらが本物の探偵とその相棒、ホームズ役でワトスン役となるのか、二人のかみ合わない可笑しなやり取りに思わず笑ってしまします。
しかしそのコメディっぷりに惑わされてはいけません。
中身は立派な本格ミステリ。
真犯人は予想通りだったけれど、ラストの一文がいいですね。
続編、あるかなー?
映像化されても面白そうですね。
